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長寿は本当に喜ぶべきことなのか

生老病死。お釈迦様は人生は苦なりと説かれた。それが真実だとしたら長生きした分だけ味わう苦しみも多くなるはず。それでも浮世の楽しみの方ばかりに心を奪われ、やっぱり早死にはしたくないというのが人間の本音。

人生100年時代などと喜んでいる場合だろうか。人間の寿命が延びたということは自分たちがこれまで蒔いてきた種の報いを受けているということに他ならない。それでもただ無自覚に死ぬまで煩悩に支配され、穢土の生臭い空気を一日でも長く吸い続けていたいというのが人間の正体。

お浄土という清らかな世界に生まれたいと願う心など、本来誰も持ち合わせてはいないのだ。なぜなら死んだあとのことなんかより、みんなこの世のあれこれに忙しいから。命とは生まれてから死ぬまでのことだと思っているから。愛とか充実とか達成とか、いかにも立派な言葉を並べ連ねてみても、結局は日々自分の煩悩を満たすことしか考えていないというのが人間の真実。


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