熊本市の公立小学校の図書室の現状を描いたニュース特集は大きな反響を呼びました。中でも多かったのは「こんなことになっているとはぜんぜん知らなかった」という感想でした。一方で「紙の本はもう必要ではないのでは」という意見はほとんどありませんでした。 こうした反響に加え、「教育の優先度が高いか低いか、それは自治体の意識の表れだ」という設楽理事長の厳しい問いかけを受けて、私は熊本市長を訪ねました。教育に、学校に、図書室にいくらお金をかけるのか。最終的に決める権限は市長にあります。
そもそもなぜ、学校が本を買うという基本的な予算がこんなに自治体で格差があるのでしょうか。 全国学校図書館協議会の設楽敬一理事長に聞いてみました。 「ニーズを把握できない学校」 「まずひとつ、公立の学校に予算が十分にないということは前提としてあります」 「もうひとつは、非常に難しい問題ですが図書館に専任の司書がいないということです。つまり図書の整備やどういう本が必要なのか学校そのものが十分に把握していない部分があります。どういうことかといいますと、実は学校が本を欲しがってい
熊本市の学校は本が買えない? 熊本市の小中学校の図書購入予算は、他都市に比べるとやたらに少ない。 そんな事実に気付いたのは2022年の夏頃でした。教員や司書の方と話すと、どうも地元の学校業界では周知の事実らしい。 というか、学校の図書購入費って、全国どこの自治体も同じようなモノじゃないの?そんなに違いがあるの? というわけでいろいろ調べた結果、入手したのが次の資料です。 これは政令市の教育委員会の予算担当者の会議で示された資料をもとにしたもの。なので神戸市のよう