自閉症の僕が「書き言葉」で話すわけ
言葉には、書き言葉と話し言葉があります。
「書き言葉」というのは、日常会話ではあまり使われず、主として文章を書くときに使われる語句・語法で、「話し言葉」というのは、書きことばに対して、文字を媒介としない言語活動。 音声言語。 日常の会話に用いることばです。(コトバンクより引用)
僕が言葉をつかうとき、そのほとんどが「書き言葉」になっていると思います。
「きちんとした言葉をつかわなければ」と特に意識していなくても、パソコンで文章を書くときや文字盤をつかって話すときには、書き言葉になるのです。
他の人は、話すときには「話し言葉」、書くときには「書き言葉」と使い分けているような気がします。
僕も心の中でいろいろ考えているときには、みんなのような話し言葉で思考しています。
どうして言葉を表出するときには「書き言葉」になるのか、僕自身が考えていることを書きたいと思います。
僕が言葉を表出する際には、ローマ字打ちでアルファベットの文字を打ち込んだり、指したりします。話そうとすると頭の中が真っ白になるために、文字を手がかりにして自分が言いたかった言葉を思い出さなければいけないからです。同時に文章の構成も考えています。
他の人との違いは、表出のスピードではないでしょうか。僕の表出は、他の人より時間がかかるのです。
その理由はふたつあります。
ひとつは、言いたかった言葉を思い出すのに時間がかかること、もうひとつは、どういう言葉で伝えたら、できるだけ相手にわかりやすく伝えることができるのかを考えながら、コミュニケーションしているからだと思います。
僕は、言葉の表出そのものに困難があるので、できるだけ簡潔で的確な言葉で伝えようと努力しています。そのほうが、自分の負担も少なくてすみます。
表出のときに書き言葉をつかう理由は、書き言葉にしたほうが表出しやすいからです。
自分の気持ちをそのまま表現できるという点では、話し言葉のほうが、よりストレートに感情が伝わるのかもしれませんが、表出するのが苦手な人にとっては、定型の文章をつかうほうが簡単です。
話し言葉のほうが、言葉のバリエーションが多いのです。
話し言葉のほうが書き言葉より簡単だと思われている方もいるかもしれませんが、定型文を覚えたうえに、方言やなまりのある言語をつかいこなそうとするのは大変です。方言やなまりにも、定型文とは、また別のルールが存在するからです。
僕は、自由自在に話せないからこそ、定型文に頼ろうとするのでしょう。
それは恐らく、日本語しか話せない人が、英語の学習をするときに似ているような気がします。
僕がさまざまな文章を書けるのは、小さい頃から文字に強い関心があり、子ども用ことば絵辞典などで単語や文章を記憶したおかげで、たくさんの語彙や定型文を自分の言葉として使えるようになったからだと思います。
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