東田直樹 (ひがしだなおき)

作家。代表作は「自閉症の僕が跳びはねる理由」 2024年6月13日に文庫本「自閉症の僕…

東田直樹 (ひがしだなおき)

作家。代表作は「自閉症の僕が跳びはねる理由」 2024年6月13日に文庫本「自閉症の僕の毎日」が発売されました。

最近の記事

自閉症の僕が「書き言葉」で話すわけ

言葉には、書き言葉と話し言葉があります。 「書き言葉」というのは、日常会話ではあまり使われず、主として文章を書くときに使われる語句・語法で、「話し言葉」というのは、書きことばに対して、文字を媒介としない言語活動。 音声言語。 日常の会話に用いることばです。(コトバンクより引用) 僕が言葉をつかうとき、そのほとんどが「書き言葉」になっていると思います。 「きちんとした言葉をつかわなければ」と特に意識していなくても、パソコンで文章を書くときや文字盤をつかって話すときには、

    • 32歳の誕生日に僕が伝えたいこと

      見かけの言動だけを見ていると、僕の様子は、今でも小さな頃とあまり変わりはないのかもしれません。 昔から、僕は「人と違う」と言われ続けてきました。でも、僕自身は、それほど奇妙だとは思っていなかったような気がします。 自分の姿を自分で見る機会が、なかったからではないでしょうか。 やがて、みんなが当たり前にできることができなくて、叱られることが多くなり、自分が「悪い子」だと思うようになりました。 僕は「いい子」になりたくてしかたありませんでしたが、どうすれば「いい子」になれるのかわ

      • 「自閉症の僕が跳びはねる理由」がオーディブルになりました。

        こんにちは、作家の東田直樹です。 僕の著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」が Amazonのオーディオブック、オーディブルになりました。 「自閉症の僕が跳びはねる理由」は僕が13歳の時に執筆した代表作です。 現在、世界30か国以上で翻訳されています。 この本は自閉症のなぜ?に答える58のQ&Aとショートストーリーで構成されています。 本とはまた違う、聴く「自閉症の僕が跳びはねる理由」 多くの人に楽しんでいただければ嬉しいです。 どうぞよろしくお願いします。 Aud

        • 【詩】まんまるの花

          アジサイの花がポンと咲いた きれいな手まりのように 僕の瞳の中に映る青色の花 そっと手のひらにのせてみる やわらかな花びらが僕をくすぐる まんまる 君はまんまる 僕の気持ちを肯定してくれる 曇り空の下でも まんまる 君はまんまる そっと手を離すと アジサイの葉から ひとしずくの 水滴が地面にこぼれ落ちた アジサイが小さく揺れた るるるるる 笑い声が風に流れていく 梅雨の空を肯定してくれる 君はまんまるい幸せの花 ※登壇のお知らせ 『次の10年、学校教育は何を目指

        自閉症の僕が「書き言葉」で話すわけ

          2024年6月13日文庫本「自閉症の僕の毎日」発売です。

          お久しぶりです。作家の東田直樹です。 僕のnoteをご覧くださっている皆様、どうもありがとうございます。 このたび、文庫本の新刊が出版されることになりました。 タイトルは「自閉症の僕の毎日」2024年6月13日に発売です。 この本は、2020年3月に出版された単行本「絆創膏日記」がタイトルを変えて文庫化されたものです。 「絆創膏日記」は、僕が25~6歳の頃、KADOKAWA文芸WEBマガジンでエッセイの連載をしていた文章を書籍化したものです。 文庫化にあたり、加筆

          2024年6月13日文庫本「自閉症の僕の毎日」発売です。

          こんにちは、作家の東田直樹です。「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」本日発売です!

          こんにちは。作家の東田直樹です。 本日8月10日、新刊が発売されました。 タイトルは「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」です。 この本は僕のTwitter、そしてnoteのエッセイを元に執筆しました。 【目次】 はじめに 君に贈る言葉 ~自閉症の子どもたちへ~ 〇第1章 自閉症の不思議 コントロールできない言葉/独特の感覚/日常生活のなかで ESSAY 呼ばれても振り向かない 〇第2章 わかってもらえたらいいなと思う心の中 脳の混乱/習慣とこだわり/言いたくても言

          こんにちは、作家の東田直樹です。「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」本日発売です!

          作家の東田直樹です。新刊「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」8月10日発売です!

          こんにちは、作家の東田直樹です。 僕の単行本新刊「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」が、8月10日にKADOKAWAから発売されます。 大反響のツイート投稿を再編集。日常の中で感じていることや明日を生きるための言葉の他、noteのコラムや詩も加えて書籍化しました。 タイトルは「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」です。 表紙、イラストは おおはしたくまさん(ohashitakuma.com) 装丁は アルビレオさん(albireo.co.jp) が担当してください

          作家の東田直樹です。新刊「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」8月10日発売です!

          自閉症者の繊細すぎる感性と生きづらさ

          こんにちは、東田直樹です。 僕の住んでいる地域では桜も散り緑が美しい季節になりました。 太陽に照らされて、とてもきれいです。 これまで枯れているように見えた植物にも新しい命が吹き込まれていくみたいで、この季節は清々しい気分になります。 散歩しているときの僕は、いつも自然から力をもらっています。つらいことがあっても生きていればいいことがあるよと自然が僕を慰めてくれるからです。 自然と一体化するという感覚は、どのような感覚だと思いますか? 僕の場合、どこからどこまで

          自閉症者の繊細すぎる感性と生きづらさ

          4月2日は「世界自閉症啓発デー」

          こんにちは、作家の東田直樹です。 4月2日は「世界自閉症啓発デー」です。自閉症に対する理解が広まり、自閉症だからといってつらい思いをする人がいない社会になることを僕も願っています。 目次 1 自閉スペクトラム症とは 2 僕の記憶について 3 なぜ物語が書けるのか 4 自閉症だからこそ 1 自閉スペクトラム症とは 自閉スペクトラム症とは生まれつきの脳の中枢神経系の障害で、コミュニケーションが苦手、空間・人・特定の行動に対する強いこだわりなどの特性がみられる発達障

          4月2日は「世界自閉症啓発デー」

          練習すればするほど僕の音読がへたくそになる理由

          こんにちは、東田直樹です。 2月11日に開催されたKADOKAWAセミナーにご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。 僕の発表は、途中からグーグルの音声読み上げ機能を使用する予定だったのですが、最初うまく使えませんでした。 思いがけないことが起きると、僕は人一倍大騒ぎしてしまいます。 このようなとき、僕が何を考えているのかというと何も考えていません。 何も考えていないというより、何も考えられなくなるのです。 どうしたらいいのだろうということさえ思い浮かばず、

          練習すればするほど僕の音読がへたくそになる理由

          「ローマ字打ちって教えるのが難しいのでは」と思っている人へ

          こんにちは、東田直樹です。 僕は、文字盤ポインティングやパソコンで自分の思いを伝えています。 話そうとすると頭の中が真っ白になってしまうからです。文字盤を見ながら自分の言いたかった言葉を引き出しています。 僕の使っている文字盤は、パソコンのキーボードと同じ配列のアルファベットが書かれている画用紙です。ローマ字打ちをしています。 ローマ字打ちですが、ハンディがある人には教えるのが難しいのではないかと思われている方もいるかもしれませんが、僕は「ひらがな」がわかる人で

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          2023年2月11日オンラインで登壇します

          こんにちは。作家の東田直樹です。 このたびオンラインで登壇することになりました。ご興味のある方にご参加いただければと思い、noteでもお知らせすることにしました。 2023年2月11日(土)14時~15時30分 (終了時間は延長されることがあります)  KADOKAWAセミナー オンライン特別イベント Zoom 「30歳の自閉症者の僕が伝えたいこと」 作家・東田直樹 + 母・東田美紀  東田直樹「自閉症という障害が僕に教えてくれたこと」 東田美紀「話せない自閉症者に言葉を

          2023年2月11日オンラインで登壇します

          変えられない状況の中で変えられるものは「思考」

          明日という日を心待ちにできる人は幸せな人です。 行きたい場所があったり、楽しみな計画があったり、自分が必要とされていることや幸福だと感じることがあるおかげで、人は生きていてよかったと思えるのでしょう。 僕は「障害があってもなくても、人は努力しなければいけないし、努力の結果幸せになれることがわかった」と以前書いたことがあります。 障害があれば、普通の人がしないような苦労をしなければいけないのは事実だと思います。 障害があるせいで生きづらさを感じたことのある障害者は多いです

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          青空が顔をのぞかせた

          青空が顔をのぞかせた 「いいお天気だね」 僕が声をかけると 青空は きらりと輝いた こんな晴天は久しぶり そう思うだけで笑顔になる 5月の空は緑とよく合う どこにでもある葉っぱの一枚一枚が これ以上にないくらい美しく見える 青空が顔をのぞかせた 「いいお元気だね」 僕が声をかけると 青空は ぴかりと輝いた こんな晴天は久しぶり そう思うだけで恋しくなる 5月の空は花とよく合う その時にしか見ることのできない花びらの一枚一枚が これ以上にないく

          映画「僕が跳びはねる理由」を映画館で見ました。(その3)

          見た目の自閉症者の様子と心の中が違うなら、簡単には想像できないのではないかと考える人もいるでしょう。 見た様子のままの感情のときも、もちろんあると思います。けれど、いつでもそうだとは限らないのではないかと僕は言いたいのです。 誰だって、笑っているのに心の中では泣いていたり、嬉し過ぎて涙が出たり、怒りながら本当は謝りたかったりすることがありませんか。 僕は、この前Twitterで、 「人の心の中を想像するのは、誰でも同じです。障害があるからという前提を元に考え過ぎると、想

          映画「僕が跳びはねる理由」を映画館で見ました。(その3)

          「僕が跳びはねる理由」を映画館で見ました(その2)

          映画「僕が跳びはねる理由」では、5人の重度の自閉症の青年たちの生活がクローズアップされています。 ※前回のnoteはこちらです。 この前のnoteでもご紹介したインドのアムリットさんは人物画を描くアーティストですが、絵を描いている最中に、とても苦しそうな表情をするシーンが出てきます。 それを見て、「つらいことを思い出したのかな」「嫌なことがあったに違いない」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その人の心の中は本人にしかわかりません。だから僕の意見も想像で

          「僕が跳びはねる理由」を映画館で見ました(その2)