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【僧侶の視点】法名(戒名)について

法名って基本的に0円だからね

 人によってはインパクトを受ける見出しだと思う。戒名、浄土真宗で言うところの法名だが、よく葬儀の話題になるたびに僧侶批判をされるがその文脈の多くが戒名代だ。私は他宗派のことは知らない。真宗大谷派のことだけだ。しかしそれでも言おう。

 親が子供の名付けに名前を取るだろうか?

 よって、ここに断言する。葬儀の布施とは別に高額な法名代などを請求している浄土真宗の寺院は反省せよ、と。

 さて、書きたいことは書いた。以下は「え?それでも葬儀の時に法名代払ったよ?」という方への回答と、法名を得る方法を書いておこう。

院号について

 さて、まずは院号(いんごう)だ。そもそも真宗大谷派の法名は、釈〇〇という構成になっているが、(女性は釈尼となるが男女ともに釈で2025年から統一。え?真宗大谷派寺院関係者なのに知らない?ちゃんと本山は情報を発信しているぞ反省せよ。)その上に付く称号、これが院号だ。

 そもそも院号は宗派に対しての功績がある僧侶に授与されてきた。それが今では一般門徒も受けることができる。簡単に歴史を記しておこう。
 京都の東本願寺は4度の火災にあい、そのたびに全焼からの復活を遂げてきた。当然、心ある方々の有形無形を問わない寄付によって支えられてきたが、さすがに財力がなくなってきた。そこで考えだされたのが相続講システムだ。

 具体的に言えば宗派へ門徒は手継寺を通して月幾らかを寄付していく。それが一定金額に達すると「お礼」として「本山から門徒へ」院号が授与されるのだ。

 ここが多くの宗派と決定的に違う。手継寺へ入る金は一銭もない。あくまで窓口であり、院号を門徒が取得したところで、手継寺の会計は一円も潤っていないのだ。それは当然である。あくまで本山の維持がこのシステムの大目的、要は、真宗大谷派を護持してくれてありがとうのお礼、というわけなのだから手継の会計など関係ないのだ。

 ちなみに現在は8万円のお金を収めれば院号が授与される。
 逆に言えば真宗大谷派には法名関連でかかる金額はこれくらいしかない。
もし、10万や20万といった金額を請求されたことがある門徒がいらっしゃればそれはその手次寺独自の性格のもの住職のお考えと言う話だ。
 
 参考に真宗大谷派の小松大聖寺教区の該当ページのリンクを記す。ちなみに教区とは真宗大谷派が各地域の寺院を管轄する行政区域のことだ。2024年10月現在は20教区となっている。これについてはまた改めて記事を書こうと思う。

 さて、つらつらと書いたが結局「院号」はあった方がいいのだろうか?と門徒さんは思うかもしれない。それに対する答えはこれだ、「お好きなように」だ。
 なぜか?上に書いたようにこの院号はどこまでいっても宗派への篤信を示す称号でしかない。それは「信仰」の問題だ。現在は8万円と言う対価による「商品」になってしまっている感が強いが、だからこそ本来の意義を強調したい。院号があると死後により良い浄土に行けるとかそんなことはあり得ない。それはカルトの文脈に成り下がる。ただ、もしも少しでも法要や式典に触れ、真宗に感動をし、それをのちに相続(別に血縁に限らない、広く後世への意味)していきたいと思っていただけたのならぜひ、お力をいただきたい。そのお礼の一つとして院号があるのだ。

帰敬式について

 それでは法名をもらう方法についてだ。法名は死んでからもらうと言う考えが一般的だが、本来は生前にもらうものだ。その際に式を受ける必要があるが、これが帰敬式(ききょうしき)だ。帰とは頼むと考えて貰えばいい。敬って頼む、拠り所にする。何を?これからの生活で仏の教えを中心にしますという宣誓式だ。
 そう、法名をもらうということは新たに名を得る(言わば新しく生まれる)ということ。

 この式はお近くのお寺、また本山たる京都の東本願寺に申し込めば行える。その際は宗派として礼金を成人1万円を設定している。(これは名前代と言うことではなく、このために式を行うからその費用と考えてもらいたい。場所を使い香を使い人を使い時間を使い記念品もあり、式も無料でできればいいのにねぇと言う意見は重く受け止める。)

 また、近くのお寺で行う場合は住職によっては追加で記念品を用意したりしてるので多少1万円から高くなるところもある。が大きくは変わらない。
 興味のある方はぜひお気軽にお尋ねしていただきたい。京都の東本願寺では当日飛び入りも大歓迎だ。死んでから何をつけられるかわからないよりも、自分が生きているうちに法名をもらっておいた方がいいだろう。参考にこれもリンクを貼っておこう。
 

さいごに

 なんというか、本当に好きなように書いている。noteも始めたてだが、今後はより深い真宗大谷派やお寺、僧侶の話を書いていこうと思う。もしもお時間があればまたお立ち寄りいただきたい。


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