花火 のようなもの
ベランダにアイスコーヒーを持って出た。
眼前に広がる打ち上げ花火を見ることができる。
今日は神宮外苑で花火大会が行われた。
隅田川といい、この神宮といい、とにかく都内の花火大会は人が多過ぎて、とても観に行く気になれない。
そんなところに行かなくても、ベランダで毎晩、誰にも邪魔されず、一人静かに花火を見られるのだから、こんなラッキーなことはない。
ただし、花火といっても、いわゆる『牡丹』と呼ばれる丸く大きく広がる打ち上げ花火しか見ることができない。
しかも、一人静かに、と言った以上、本当に静かで音も無い。
それでも花火は花火だ。
ベランダに出る前に、コーヒーの他にもう一つ準備がいる。
コンタクトレンズを外すことだ。
すると、遠くの視界がいきなりぼやけた世界になる。
そのままベランダに出ると、街灯、マンション・家の灯り、車のライト、これら全てが、『牡丹』になる。
白、黄、赤、暖、薄青、たくさんの花火が目の前に広がる。
なんて綺麗なんだ。
うらやましいだろ・・・。
・・・乱視のおかげだぞ・・・。
本当は、隅田川や神宮に見に行きたいくせに、なんだかんだそれっぽい理屈をこね、やせ我慢しているのかもしれない自分に、情けなくもなり、一気にコーヒーを飲んで、部屋に戻ってこれを書いた。