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遠くに向けて



目の前の仕事に追われ、忙しい日々。
忙しいのがサラリーマンの鑑であり、また、さもそれを美徳とするバカげた風潮がある中、自分もその波に飲みこまれはしないか、ふと思う。


顧客との雑談の中で、魔法陣の話題になった。
魔法陣とは、例えば3×3のマスに、1から9までの数字をひとつずつ置いて、たて、よこ、ななめ、3つの数字を足すと、どれも同じ答えになるあの遊びだ。理論は意外と簡単で、法則さえ見つければ、簡単に作ることができる。

魔法陣と言えば有名なのが、バルセロナにある『サグラダ・ファミリア』。
かの建築家、アントニ・ガウディが設計したキリスト教会だ。ここに、とある魔法陣がある。
上述したルールとは違い、4×4のマスに、同じ数を2回使ったり、一度も使わない数もあったりする。ただし、足せば同じ数になるのは通常の魔法陣と一緒。

決定的な違いは、たて、よこ、ななめだけではなく、様々な足すパターンが存在することである。例えば、左上2×2マスと右下2×2マスの合計が同じ、など。
通常、4×4の場合、全部で10の足すパターンが存在する。しかし、この魔法陣、そのパターンは数百に及ぶ。
そして合計数。
4×4の場合は「34」になるのが魔法陣の法則である中、合計数は「33」になる。これは、イエス・キリストが亡くなった年齢でもある。この魔法陣のプレートを教会に掲げ、主イエスを祀っているのが『サグラダ・ファミリア』だ。

サグラダファミリアは、着工からすでに140年を経過している。
今なお建築は進んでおり、完成は、いよいよ来年の2026年を予定している。なんとも壮大で、気が遠くなる話だ。

日々あくせくと、目先のことにとらわれている自分が、なんとも小さく感じた。少しは視線を遠くに向けなくては、そう思った。




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