暗号

　

　　法務とは今度で話をつける。
　　もうすぐだから待ってて。
　　チョコマロンは、僕のベストスイートだよ。


情報漏洩が問題となる世の中、企業は情報セキュリティに力を入れている。
その中の一つの対策に｢情報の暗号化｣というのがある。
例えば個人情報。
｢ひがし｣と、そのままデータベースに保管するのではなく、｢XYZ｣と読み替えて保管する。そうすれば、万一データベースの情報が漏れたとしても、正しい情報はほとんど解読不能のため、情報としての価値はないに等しい。

関連会社に、よく一緒に仕事をする女性がいる。
中目黒のスタバに行った女性だ。
一緒に昼飯に行った時のこと。

｢朝さぁ、電車にハゲおやじがいてね、混んでんのに一生懸命LINEやってんだよねぇ。見たくもないのに見えるから、読んじゃった｣
「お前なぁ、それじゃ盗み見じゃないかよ」
「だってしょうがないじゃない？老眼かなにか知らないけど、画面すんごい拡大してやってんのよ、あれじゃ見てくださいってもんよ」
｢ったくしょうがないヤツだ。で、ナニ書いてたわけ？｣
｢それが笑っちゃうのよ。どう読んでも浮気のLINE。あの顔にあのハゲチャビンで、よくやるわよ。でもね、しっかり暗号化されてるから笑った。それもバレバレの暗号化｣
｢マジか？どんなんだ、オモロそうだな」
｢法務とは今度で話をつける・・・｣

それが冒頭に書いた内容。
一見なんてことない内容だが、すぐ解読できる。

法務 → ホーム → 家(嫁さん)
チョコマロン → 彼女(恐らく｢栗｣がつく名前)
ベストスイート→ 一番好きな甘いもの → 一番好きだよ

　　嫁さんとは、今度で話をつける。
　　もうすぐだから待ってて。
　　君が一番大好きだよ。

「なんじゃそりゃ。しょーもな」
「男ってホント単純よねぇ」
企業のセキュリティは、こんな単純ではないので安心してよい。