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爪に想う

爪に火を灯す。

最近、滅多に耳にしないし、文字でも見かけない慣用句。
本来、非常な吝嗇家または非常に慎ましい生活といったネガティブな意味であるため、あまり使い勝手もよろしくないのかもしれない。
加えて、爪の先に本当に火を灯せるのか、本来の意味以前に、そもそも出来ないのではないのか、とも思う。

私自身、爪には気を使っている方だ。
なにも女性のように、サロンに行ったりマニキュアやネイルアートをしたりしているわけではなく、普通のヤスリが付いた爪切りで、形を整えているだけだ。

必ずしも綺麗である必要もないのだが、仕事上、目に付くこともあるだろうし、綺麗であることでマイナスにはならないだろうし、爪一つでプラス1点もらえるなら儲けもの、そんな程度の気の使い方である。

ところが今日、はずみで知り合いの手に触れたところ、イテッとしかめっ面をされた。
しばらくほったらかしにしていたせいで、ずいぶんと爪が伸びていた。
それが手に刺さってしまった。

おまえ、爪ぐらい伸ばさないで切れよ。
それじゃ、バカ丸出しだ。
能ある鷹は爪を隠す、だ。

これもこれで、久しぶりに耳にした慣用句だ。

はいはい、優秀なおまえの爪の垢でも煎じて、絶対飲まない。

さらに耳にしない慣用句で言い返してやった。

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