再会
なぁ、今度POPEYEがこっちに来るってよ。
うそ?チャレンジするか?
やろうぜ。どうせ無理だろうけど。
もう、だいぶ前の高校生の時。
当時はやったファッション誌の「POPEYE」。
確か巻末に、街で見かけたカッコいい少年の写真を掲載するコーナーがあった。
私と、悪友だった同級生は、精一杯のオシャレをきめこんで、撮影地へ集まった。
こんなにいるのか・・・?
ダメだな・・・。もっと目立ってくりゃよかった。
それにしても、おまえ、なんで白衣なわけ?
好きなんだよ。ほっとけ。
ヘンなやつ。こうなったら、なんかポーズとろうぜ。
そうだな。
撮影の順番がくるまでの間、二人で試行錯誤してポーズを考えた。
やがて撮影。
二人は、シャッターが切られる寸前、突然ポーズをとった。
最近、私は、ある地方の医科大学に仕事で行った。
少子化時代における大学経営は、抜本的な改革が時として必要であり、いかな有名大学といえども、安穏とはしていられない。
仕事の話も終わり、雑談をしている中で、ひょんなことから、相手が同じ高校の後輩であることがわかった。だいぶ年下の方なので、お互いの在学中のことはわからないが、こんな奇遇もあるもんだと、互いに驚いた。
すると、実はもう一人、同じ高校出身の教授がいると言う。
私の年齢と近いらしく、もしかしたらお互い知ってるかもしれない。そう言うと、電話をかけ呼び出した。
しばらくし、ドアが開くと、白衣を着た一人の男性がかしこまりながら部屋に入ってきた。後輩が紹介しようとする前に、私と白衣の男性は互いに驚いた表情で顔を見合った。
・・・ひがし、か?
すずき・・・。
おい、おい、やったな。載ったぜ。
おー、載った、載った。
やっぱり、ポーズがよかったな。
ばぁか、オレの白衣がきいたんだよ。
そんなのカンケーねぇよ。
まぁ、なんにしろ載ってよかったな。
きめたはずのポーズが、どう見ても様になっていない、しかし、それがむしろ目立ったのか、運良く掲載された写真の下に、小さく名前が載っていた。
『すずき君、ひがし君 ○○高校3年生』
時を経て、彼の白衣はとても様になっていた。