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グラブ・ドライブの基礎理論

スターフィールドを遊びながら、一番ワクワクする瞬間がグラブ・ジャンプだ。時空を捻じ曲げ、光速を超えてはるか彼方の星までひとっ飛び!

でも、どうやって?

光の速度では遅すぎる

光の速度は、質量が持つ物体は絶対に超えられない領域であり、そして宇宙を旅するには光程度の速度ではあまりに遅すぎる。たとえこのままロケットの速度が上がり亜光速移動が実現したとしても、スターフィールドのメイン舞台になっているアルファ・ケンタウリまで地球から4年以上もかかってしまう。おまけに相対性理論によって時間の差が生まれ、往復するだけで現地では何十年…もしかすると何百年も経っているかもしれない。

アインシュタインが突きつけた宇宙旅行の絶対的な壁。特殊相対性理論。
いままで数々のSF作品が、あの手この手でこの壁を越えようとしてきた。

今まで読んだ中で一番突飛な「ワープ理論」は、宇宙船の窓を閉め、計器をオフにし、全員「いま宇宙船が光速を超えているのを知らないフリ」するというワープ航法。「測っていないのでセーフ。アインシュタインにも怒らない」というやつだ。

グラブ・ジャンプの元ネタ

では、スターフィールドのワープはどういった理論なのか。NASAが全面協力しているので、何か理論に裏付けされた元ネタがあるのだろうと思ったら、ありました。NASAが「理論上は可能」としているワープ航法。
それがアルクビエレ・ドライブ

光の速度を超えられる自然現象がひとつだけあります。
それは時空の膨張・収束速度。ビッグバンで起きた時空の膨張は、光の速度を超えて宇宙を広げていきました。これは実際に観測されている自然現象で、かつ特殊相対性理論上でも成り立つ。

アルクビエレ・ドライブ

つまり、宇宙船の後ろでビッグバン(宇宙の膨張)、前でビッグクランチ(宇宙の縮小)を人為的に起こしてしまえば、時空に乗って宇宙船は後ろから押し出され、前に引っ張られ、一歩も動くこと無く光速を遥かに超える速度で移動する事ができるわけです。

NASAによるアルクビエレ・ドライブの概要図

これがアルクビエレ・ドライブの理論。
NASAによると「137億年前のビッグバンの時、 初期に爆発的なインフレーションが起きた後、ある二つの地点が ものすごいスピードで離れていったという宇宙モデルがある。自然にできることなのだから、我々にもできる可能性はある。」と力強く語っています。

そしてグラブ・ドライブへ

ビッグバンを起こすのは現実的ではないものの、重力をコントロールする事ができれば(ビッグバンバージョンよりは遅いものの)、前後の時空を曲げて同じように滑り出される事が可能です。実際ゲーム中のグラブ・ジャンプでも、船の背後で前方と同じようなエフェクトが描写されているのが確認できます。

船の後方でも時空のゆがみが発生

グラブ・ドライブはグラビティ(重力)・ドライブの略称です。つまりキーワードは重力。

ここから先はややネタバレを含むのでご注意。

グラブドライブの基本理論は「重力をコントロールして時空を歪めて進む」ということ。そのための膨大なエネルギーはヘリウム3を使った核融合によって賄われる。ゲーム中でも、遠くにジャンプするためにはヘリウム3用の巨大なタンクが必要になる。

そして、本編を進めると最初のグラブ・ドライブ誕生秘話に遭遇する。

ここでは仔細は省略するが、その中で人類が重力のコントロール手段を手に入れた事、それによって実現した最初のグラブ・ジャンプの様子がプレイヤーにもわかってきます。

(S)壮大な(F)ファンタジー

ベセスダ自らNASAパンクと呼ぶスターフィールド。実現可能な理論に基づいた、手の届きそうな壮大なファンタジーで私達を楽しませくれる。

ヘリウム3は実際に、私たちの目の前、月に豊富に存在していて、そして重力に関する研究・理論も日々進化している。

もしかすると、近い将来グラブ・ジャンプが可能になり、遠くの星までひとっ飛びできるようになる。…かもしれません。
そういった事を想像しながら、ゲームを遊ぶのもまた楽しいもんですよ。

さて、またタマネギと宇宙を駆け回りますか!


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