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柔道整復師(接骨院・整骨院)と交通事故処理

お疲れ様です。交通事故の仕事をしていると避けて通れない存在「接骨院・整骨院」(以下、柔整)。保険会社は極端に嫌い、自賠責保険を主戦場にしているような行政書士なんかですと柔整との連携あってこそ、のようなところもあるようです。そんな柔整、交通事故の保険上の扱いはどうなっているのでしょうか。

=自賠責保険的にはOK(例外あり)=

以前までとは異なり、現在の自賠責保険の扱い上、柔整利用は原則OKです。もちろんそこにはルールがあり、まず第一に整形外科が先。これは絶対です。先に柔整はあり得ません。(自賠も出ません)これは、柔整はあくまでも施術をすることができるのみであり診断を下すことはできないという位置付けになっているためです。診断を下すことができるのはドクター、医師のみです。柔整はあたかも医師であるかのような振る舞いをする方もおられますが全く異なる資格区分であることは交通事故処理をする上ではめちゃくちゃ重要です。この部分もう少し詳しくご説明いたします。整形外科が先、というのは交通事故受傷→整形外科で診察、検査等を行い、怪我をした部位の特定を行う→柔整はその部位について施術をする分のみ自賠責保険が認める、というのが大原則です。部位の特定というのは「頸椎捻挫」「腰椎捻挫」「腰部挫傷」「大腿部打撲」などのように場所と症状がくっついてワンセット、どこがどうなっていますよ、というのが診断書上で明らかにされていることです。(診断書が発行される前でも同意書取付が済んでいれば「部位教えてください」といえば教えてくれるはずです)柔整はこの、整形外科が「どうにかなってます」と特定した部分についての施術しか行うことはできません。親切な柔整がオゴリでやったり、部位を切り分けて交通事故と関係のない部分を健保で扱う(これも本当はあまり望ましくはないのですが)等すればできなくもないですが、通常は特定された部位について許された範囲の施術を行うのが柔整の仕事、というわけです。

また、施術の費用計算もルールが定められており、部位が多い場合(3部位目〜)や施術の期間が長くなってしまった場合(三ヶ月目以降)について減額をする、等細々と決められています。これらルールを正しく守っていただけるならば柔整利用差し支えないですよ、というのが最近の自賠責のようです。(実際に「こうしてます!」と何かが明示されるわけではないですが請求している感覚としてはこの理解で問題なさそうです)

これらのルールが交通事故の損害賠償について保険を使う保険契約者と保険者の関係での話、ということで一部のあまり性質の良くない柔整は「うちと患者さんの間にそのルールを適用するつもりはない」というような主張をされることがあります。この主張は見方によっては筋が通っているように見えなくもありません。うちは部位が多くても逓減はしない院なんだ、患者さんもそれに同意しているんだ、といいきることは確かに出来なくはありません。ですが、多くの交通事故の場合その費用は自賠責保険あるいは任意保険から出ることとなります。(15条、16条の別があれど行き着く先は同じ自賠責保険調査事務所です)支払いを行う側がお店(この場合の柔整)に対して何らかのルールを強制できるのかどうか、は少し悩ましく感じるかもしれませんが、保険会社が支払っているのはあくまでも保険給付であり実際のサービス(施術)の料金を直接に支払っているわけではありません。保険の規定外だから払いませんよ(給付できませんよ)というのは保険では当たり前の話ですから、結論、この問題は問題たり得ません。特定の院がルール適用を拒んだ場合当該の治療費を支払っている患者さんや事故加害者側任意保険はその部分の保険給付を得ることができないことになります。現実的な対応として、任意保険会社は当該接骨院での施術について一括を打ち切る、あるいは慰謝料計算時に過払い分を控除するような形を取ることになるでしょう。(大体は打ち切りになると思います)ですので95%の柔整は請求ルールをお伝えするとその通りに請求してくれます。

それでは、なぜ保険会社は柔整を嫌うのでしょうか。

治療費用が高額化しやすい、というところは否定できません。ただ、リハビリのついている整形外科にしっかり通われても結論は一緒ですからこれは何も柔整が悪い、ということはありません。次に考えられることとしては「医師ではない者」が治療に介入することを嫌う、という考え方ですがこれも主には気持ちの問題だけなので、整形外科も併用してくれるのであれば必ずしも柔整を完全に排除する必要はないと考えます。一部の悪質柔整が過剰施術、濃厚施術を行ったりしてしまうのは上にあげた請求ルールと同じ話で、要はルール通り願います、と釘を刺しておけば良いだけのことなのです。柔整は打ち切りがしづらい、という声も時折耳にしますがそんなことは全くありません。過剰診療、濃厚診療があったり、実際の負傷の内容、状況によっては一ヶ月、2ヶ月で打ち切り、これは整形外科であろうが柔整であろうが当然行います。ちなみに打ち切りはあたかも「治療をするな、治療を止めろ」というような表現として伝えられますが実態はもう少し単純で「これ以上治療しても治療費を保険給付しません」というだけなので、続けたければ負傷者が自費で続ければ良い、それだけの話です。怪我をさせられたのになぜ自費で、と患者さんは思われるでしょうが、実際の怪我の内容と治療の質、量が一致していないと言うのが一番の、そして唯一の問題であり柔整はこの質、量がその性質からどうしてもそれが極端なものになりやすい傾向があるため打ち切りの対象になりやすいというわけです。当然ながら柔整側は治療内容に問題なし、という立場で反論されますでしょうからその点で「打ち切りしづらい(打ち切り面倒)」というところで柔整と保険会社の対立構図が生まれてしまう原因の一つと言えるかもしれません。

今回は柔整について触れました。平日遅くまで空いている、マッサージ施術が気持ち良い、先生が施術の中で愁訴等親身に聞いてくれる、など柔整の良い点がたくさんあることももちろん承知していますが、それでもなお敢えて記事にしてまで言いたいのは、ちゃんとルールを守ってくれないとそのうちに保険会社が柔整への一括は全てお断り、と言い出すようなことにもなりかねないですし、自賠責でも元素通りの【医師の承諾】要件を厳格に運用し始める可能性もあるということです。ルールを守ってくれている接骨院、整骨院の方には申し訳ない内容ですが、そんな思い高まり、この記事となりました。より良い交通事故治療の確立には接骨院様の力は不可欠であると私は思います。東浦事務所では接骨院、整骨院様からのご相談も大歓迎、お気軽にお声掛けくださいね。

今回は以上です。本日もご安全に!


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