必見太陽光事業者へ 危うい太陽光発電の主力化
日本の太陽光発電の主力化に危うさが漂っている。
政府は2030年度のCO2 46%削減の達成に向け、太陽光発電を1億kW超まで倍増させる計画だが、事業用太陽光のFIT(固定価格買い取り制度)認定量の減少に歯止めがきかない現状を確認した。
日本の太陽光発電産業は危機的状況
10kW以上の事業用太陽光は2012年にスタートしたFIT制度を追い風に、2014年2015年度において2年連続で800万kWを超える導入量を記録した。
2016年度から2020年度にかけても年間500万kWの導入が続き、累計導入量は6,200万kW(2021年3月時点)を超えた。
一見、順風満帆のようにみえるが、FIT価格の下落スピードに発電事業者が
ついていけず、FIT認定量は2015年度以降減少がとまらない。
2020年度はとうとう100万kWを下回り、早晩、年間導入量は100万kWを切る見込みだ。
政府は、太陽光発電の年間導入量を600万kWまで回復させて、2030年度に1億kW超まで倍増させる目標を掲げている。
実現に向けて、経産省は政策強化を図り、量を拡大することでコストを低減させ、コスト低減よって国民負担で成り立つFIT制度から自立化させる、という青写真を描いている。
10月29日に開催された調達価格等算定委員会において、太陽光発電の事業者団体である太陽光発電協会(JPEA)は、窮状を明かしている。
現行トレンドが続けば、導入量は近い将来、年間100万kWを下回る。
産業としての成長が見込めず、事業者の撤退が進めば、自立化に向けたコスト低減も困難になる。
日本の太陽光発電産業は危機的な状況であり、なんとかこの状況を打開して、FITから自立して成長することを目指さなくてはいけない。
続けて、「事業者による持続的なコスト低減を進めるうえでも、2030年までにFITからの自立を実現するためにも、2025年まではFIT価格などの維持をお願いしたい」と訴えている。
足もとでは太陽光パネルなどの資材高騰と供給制約も重なる。
一過性であり構造的ではないことを願いながら、事業者が身を削って対応している状況だである。
資材高騰の最大の要因は中国にある。
電力危機が深刻化する中国では、2021年9月以降、電力の供給制限や工場の操業停止要請が加速。
週1日あるいは2日の操業を強いられる工場も出現し、太陽光パネルの原料であるポリシリコンも例外ではなかった。
操業停止が全国に波及した結果、ポリシリコンの価格は300%以上も急騰したと報道されており、さらに、銀、銅、アルミニウム、ガラス、鉄などあらゆる素材が高騰している。
日本の太陽光パネルは、6割近くのシェアを中国製品が占めており、資材高騰と供給制約の影響は大きい。
しかも市場ではある異変も起きつつある。それが火災保険の保険料の値上がりだ。
今後は太陽光の制度改革も行われ、
〇発電事業者への賦課金(電気料金への加算分)の支払い
〇太陽光パネルに含まれる有害物質の廃棄費用積み立て金
などが予定され、太陽光発電の主力化が危ぶまれている。
この流れについては、今後も注意深く考察する必要が事業に大きく関わることは間違いないと思われる。
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