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「無料記事」と「有料記事」

はじめまして、株式会社マイベストの東と申します。めちゃくちゃ久しぶりにnote書きます。

というのも、現在僕が所属している株式会社マイベストにてアドベントカレンダーを開催中でして、自分も1日任されてほしいと依頼を受け、書かせていただく次第です!

マイベストは、 インターネットを使った“最高の選択体験”を実現する」 をミッションに掲げ、人とモノ・サービスをつなぐマッチングサービス「mybest」を開発・運営している会社です。

そんなマイベストらしく「選択」をテーマとしてさまざまな記事が既に何本も公開されているので、ぜひ見てください!

僕はマイベストで、冷蔵庫や洗濯機、炊飯器などを管掌する白物家電チームのマネージャーをやりつつ、自分で記事も作ったりしています。

そんな自分がマイベストに入って感じたことを、クソ真面目に書かせていただきます!

記事は無料で読めるべき?

今週Twitterで「公益性が高く、多くの人に読んでもらいたい記事は無料で公開するべき」という趣旨のツイートを発端とし、「記事は無料で読めるべきなのか」の議論がさまざまに行われていました

どちらが良くてどちらが悪い、と決められるものでは無いですが、僕もこの1年、「無料」と「有料」の狭間で悩んでいたなと振り返るきっかけになりました。

僕は今年の4月にマイベストに入社しましたが、それまでの8年間、雑誌編集→月額会員制メディア記者として、基本的に「有料」の記事を書き続けてきました。

新卒で最初に配属された家電情報専門誌『家電批評』は、広告を一切入れず、商品をガチで比較し、批評していくストロングスタイルの月刊誌です。

まだ若かったので、当時はただひたすら家電のテストをして、がむしゃらに誌面を作り続けていました。

意外と使える写真がない。ので、家電じゃないですが、「ポケモンGO」が流行ったときに「どうすればタマゴを早く孵化させられるか」をキックボードで試していた時の写真を貼ります

お金を払ってでも読みたい記事とは

インターネットを使えばタダで情報が手に入る時代に、約600円を支払ってでも読みたいと思える記事とはどんなコンテンツなのか。

当然、対価となるだけの付加価値が必要であり、物理的な付録など滅多につかない雑誌にとっては、誌面の情報やクオリティそのものが付加価値となります。

余談ですが、あるとき上司からこんなことを言われました。

「俺たちは(雑誌という)”別に世の中になくても困らないもの”を作って、それを買ってもらってメシを食ってる」

出典:かつての上司

斜陽と言われて久しい雑誌業界ならではの言葉ですが、有料コンテンツを作るうえで、忘れてはいけないことのようにも思えました。


その後、さらなるステップアップを目指して加入したソーシャル経済メディア『NewsPicks』では、家電批評の2倍以上の金額、月額約1500円を支払うことで読めるオリジナル記事を作っていました。

ウェブメディアなので、雑誌と違って記事1本単位で常に注目されます。「その記事を読むために、どれだけの人が新たに有料会員になってくれたか」が記事の評価の1つに組み込まれ、雑誌の頃よりもさらにプレッシャーが増していきました。

有料会員数は10数万人。記事には必ず自分の署名が付きます。時には「誰が書いたか」が重要視されることもあります。お金を支払って読む価値がないとみなされれば、読者からの厳しい批評にさらされます。

そんなNewsPicksには、テキスト、動画、音声問わず、「純粋に面白いコンテンツを作る」ことだけを考え、そのための時間と労力を厭わないプロフェッショナルがゴロゴロいました。間違いなく、上司や会社に対してではなく、読者や世の中に対するプレッシャーを背負って記事を書いていました。

繰り返しとなりますが、「有料だからすごい」「無料だからすごくない」わけではありません。

それでも、僕が一緒に仕事をさせていただいた記者、クリエイターはすべからく「プライド」を持ってコンテンツを作っていました。

自分がどれだけ全うできていたかわからないですが、20代の社会人生活を「(お金を出す)価値のあるコンテンツ」を作り続ける環境に身を置くことができたのは、とても貴重な経験だったと思います

NewsPicksでは動画の記事にも出させていただきました。Vtuberのキズナアイさんに(にやけ顔で)Zoomインタビューしたことも

無料の記事の戦いかた

そんな有料コンテンツに純粋培養された僕ですが、30歳となり、さまざまなきっかけやタイミングが重なった結果、無料で自社サービスを提供するマイベストに入社しました。

入社してすぐ、これまで所属していた媒体に負けず劣らず「ガチ」でモノやサービスを比較検証しているのを見て、「これをタダで公開して(事業が)成り立つのか、、」と驚いた記憶があります。

たくさん人のリソースとお金を使って作った記事を無料で公開するということは、読者からお金をもらうのとは違うやり方で稼がなければいけません。

広告・アフィリエイトなどさまざまな手段がありますが、それ以前にまず最低限必要なのは、無限に広がるインターネットの中から、自分の記事を「見つけてもらう」こと。

そのためには、記事のクオリティや面白さだけでなく、ユーザーが検索する適切なキーワードを配置するなどして、戦略的にSEOをしっかりやっていくことが求められます。「なくても困らないもの」とは対極の「なくてはならない、必要とされるサービス」にならなければいけません。

検索エンジンに「信頼される」ためにさまざまな施策を打つといった、今まで考えたこともなかったやり方で記事を作るようになりました。

まず何より、「見つけてもらうため」に、自分の言葉ではないキーワードを散りばめる--頭ではわかっていても、割り切るのにすごく時間がかかりました。

マイベストに入って最初に公開した記事は「生ごみ処理機」でした。トンマナがああだこうだと言い訳していますね、、

では、クオリティはおざなりで良いのか?


ダメです(確信)

ただ、今ではそう即答できるものの、マイベストに入社して2,3か月が経った頃には、そこにも迷いが生じていました。

無料記事だし、まだまだサービスそのものの認知度が低い現状では、クオリティよりもまず優先すべきものがあるのではないか?有料ではなく無料、純粋なメディアではなく「Webサービス」であるマイベストにとって最適な記事の型とは?。

そんなとき、雑誌からWebに拠点を移した、自分とほんの少しだけ境遇が似ていた今の上司に「一度ガチでクオリティを追求した記事を作ってみたら?」と提案を受け、これまでの制作手法を度外視して、僕が20代で培った経験を全てぶつけたコンテンツを作ることにチャレンジしました。

商材は「スティッククリーナー」。メインターゲットはどんな層か?検証内容はヌルくないか?写真はどう撮る?アイキャッチはどうする?図版は?ってか、これまでのレギュレーションは果たして最適だったか?

上司と毎週議論を重ね、深夜にラフを添削してもらったり、他のメンバーの作業の邪魔にならぬよう、休日にこっそりじっくり検証をしたり。22台の掃除機を社内の初めましてのメンバーに運んでもらったり。情報量の多い画像を挿入するために、開発部の方に協力してもらうこともありました。

そんなこんなで作った記事がこちら

画像をタップすると記事に飛べます!無料です!スマホで読むとちょっとだけ見やすいです

正直、これが正解なのかはまだわかりません。

作った後からも反省点をあげればキリがないですが、それでも、自分のキャリアや経験を生かして、今できることを体現した1つの形になったのかなと思います。

ところが、公開から1か月くらいで、競合ひしめく家電情報サイトの中で、この記事が、「スティッククリーナー おすすめ」で検索して一番上に来るようになりました。

(その後、3日で一旦1位の座を明け渡すことになるのですが)、コンテンツの論理で作った記事が、こんなにも早くWebサービスとしての文脈で効果が現れるとは考えてもいませんでした。

何がどう評価されたのかは引き続き分析が必要ですが、クオリティにおいても一定の評価がされたのだと、心に言い聞かせたいと思います。

(余談ですが、「締め切り」ってめちゃ大事だなと、今回改めて気付かされました。長くなるので割愛しますが、ものづくりにおいて必ず必要な概念だと思います)

吉川社長にもすぐ見つかり(?)、即社内Slackで共有してもらいました。ありがてぇ泣

全部がんばる。ベンチャーだから

そろそろ記事を締めたいのですが、結論として「やっぱり無料でもクオリティは大事でした!」とするのも若干モヤりがあり。「クオリティも大事だし、それを最大化させるためにできる施策を全部打っていく」ことを、最終的にはやっていかなければいけないのだと思います。

マイベストはオペレーションに力を入れている会社です。コンテンツを作るチームがクオリティアップだけに集中できるよう、データ分析から商品手配、校正薬機チェックに至るまで、あらゆるサポートを行ってくれる部署があります。

頑張って校了して、本ができてはい終わり。みたいな世界に長くいたので、全くこういうことをやってこなかったのですが、今後は口頭伝承ではなく、制作からオペレーションまで一気通貫して落とし込めるよう、仕組みも考えていかなければなりません。

ちゃんとした企業であれば当たり前のことなのですが、実は初チャレンジ。書くことを仕事にしているのに「言語化」ってこんなに難しいんだと、最近は悩むこともあります。記事も作らなきゃだし、マネジメントも超大変。

でも結局、全部がんばってやっていかなければいけないのだと思います。だってベンチャーだから。おちこんだりもするけれど、元気にやっていくしかないんですよね。

それぐらいの覚悟を持って、ある意味吹っ切れた気持ちで、日々の業務に邁進していかなければいけないなと思います。

それでも、立場や役割が変わったとしても、「面白いものを作りたい」というプライドと気持ちだけは、心に無理矢理余白を作ってでも、持ち続けていきたいです。


終わりで〜す


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