エルデンリングdlc、面白いのになぜ不評なのか
エルデンリングの待望されたdlcが発表され、多くの褪せ人が霧の向こうから帰ってきた。発売から一週間たっても何かしらのワードがトレンド入りするほどに大盛況である。
しかしながら、そのボスたちには不満が募っている。
いったいなぜだろうか。
もちろん、ネタバレ注意!
神獣獅子舞
多くの問題が見られるボス。
集中線のようなエフェクトをサインとして使ってくる大技、
三連浮遊タックルは、避けられたとしてもすぐにブレス大回転に派生し
反撃しようとしたプレイヤーを潰す。
軽量武器でも攻撃出来なかったのに、重量武器のプレイヤーはどうしていたのだろうか。
カメラも見づらい。四足モードと二足モードが高速で入れ替わるからなのだろうが引いたカメラではなく、近いカメラで戦わなければいけない。
ただでさえ見づらい攻撃を見ずに避ける必要がでてくるときもある。
最初のバージョンではエフェクト過多による処理落ちも見られた。
双月の騎士、レラーナ
パリィで攻略した人と、そうでない人では印象が分かれるだろう。
私を含んだパリィ攻略者にとっては反射神経とディレイ対応に追われたボスだっただろう。
しかし、noパリィ攻略者は余裕のないボス戦を強いられたことだろう。
途切れず、手痛い連撃はシビアな対応を要求される。
僅かな隙にしっかり叩かなければ攻撃すらさせてもらえないだろう。
一方、大技は避けやすい。
ロイヤルカーリアはローレッタの斬撃のような回避が楽しい攻撃だった。
月と炎の構えはダッシュとジャンプのみでも避けられる。楽しい。
レラーナの双月は触れれば一発アウトの理不尽さはあるが、
避け方は直観的に分かるだろう。
第二形態後はエフェクトで見づらくなった連撃を避けなければいけない。
序盤のボスながら難しいボス。
黄金カバ
恥ずかしながら、まだ倒せていない。
口を開けながら突進する攻撃を見て、戦いたくないと思い。
そのうえ影の城の裏口を見つけてしまったため、
避けて通ってきてしまった。
そういうルートがあったのはありがたかった。
串刺し公、メスメル
DLCの最も評価の高いボスだろう。
トレンドに上がりがちだったのも、その良ボスさ故だっただろうか。
速さと複雑さをもつ連撃を主軸としながらもかなり後隙の長い大技を持ち、
特大武器のプレイヤーも安心して攻撃できるタイミングがある。
対処の異なる技をいくつも持ち、戦っていて楽しかった。
しかしながら例に漏れず、自分から攻撃できるボスではない。
それはエルデンリングのほとんどのボスに当てはまる特徴だ。
蕾の聖女、ロミナ
隠れてはいるが、かなりの良ボスだと思う。
百足の体による攻撃は懐に入り込んでしまえば当たらないし、
剣による攻撃は避けやすい。
回転からの百足二連撃は「離れて避ける」という選択をとればいい。
かなり硬派なボスだと感じた。
懐に入り込める影響で隙も大きく、見づらさもない。
飛び上がっての攻撃もよく見れば回避は容易だ。
出されたら諦めるしかないような攻撃もなかった。
狂い火の王、ミドラー
戦っている最初の方は「理不尽だろ!ムカつく!」と喚いていた。
しかし、倒してみれば良ボスだったと感じた。
DLCボスの中では異質なほどの遅いテンポを持ち、
感覚が戻らず翻弄されるが、
分かれば攻撃の合間に反撃を差し込むことができる。
狂い火攻撃もタイミングを覚えれば避けやすい。
形態移行時の大爆発は距離を取るしかなく、
そこから遠距離ビームにつなげられるのは腹が立ったが、
見えないわけではない。
追加の狂い火連撃も避ければどうということはなかった。
指の母、メーテール
クソボスだと言いたい。
良ボスという意見もあるが理解できない。
避け方が全く分からん攻撃を多数持ち、巨体に似合わず俊敏に動く。
しかし体力は低く、状態異常耐性は少ないようだ。
倒される前に倒せということだろうか?
近接が、哀れすぎるではありませんか。
どちらにせよ、私はこのボスが嫌いである。
約束の王、ラダーン
ラスボスのくせにクソボスという評価の多いボス。
私も良くないボスだと思う。
大剣を持っているくせに、
本編とは打って変わって素早すぎる。
ミスは許されずすぐに、しかし正確に判断することを強いられる。
ダメージも尋常ではない。痛すぎる。
と、ここまでが第一形態の評価である。
第二形態は泣きたくなるほどのボスだ。
諸事情により、攻撃に無数の光柱を伴うようになり、
見づらさと追撃を持つようになる。
場所を変えつつ避けなければいけないので、
連撃が終わると、ラダーンがこちらに背を向けた状態になる。
するとどうなるか。
ミケラの髪の毛で攻撃が見えない!
米津玄師もびっくりの長い髪を持つミケラ。
髪の毛をマントのようにしているデザインは面白いと思うのだが、
ただでさえ一瞬で振り返って攻撃してくるのに、
見えもしないならどうすればいいの?
ただただ受け身のバトルスタイル。
王と神と戦っているのだから仕方ないのかもしれないが、
きつい。
その結果、推奨されている攻略方法は何になっただろうか。
大盾チクである。
盾チクだって立派な戦法の一つだ。
対人では戦いたくないが、攻略ならばよい。
だがしかし戦法の一つが唯一といっていいほどのまともな攻略法になるのは
正しい調整なのだろうか。
左→右→クロスの攻撃は、避けるのがほぼ不可能だ。
それは受ける全体の技づくりではないのか。
唯一許された盾チク以外の戦法はパリィだ。
しかし超反応が基準となる立ち回りをしないといけないし、
第二形態はワンミスで半分以上削られたり
そもそも避けられない意味不明攻撃のバーゲンセールなので
なんとも言えない。
フロム様、ラダーンをどうするつもりだったんですか?
総評:エルデンリングのゲーム性
私がプレイしたことのあるフロムゲー(ソウル系)は
デモンズソウル、ブラッドボーン、SEKIROで、
そのうちクリアしているのは現在ブラッドボーンのみである。
ブラッドボーンは非常に高いゲーム性を持っていると思う。
回避行動のステップがとにかく高性能で、
猟犬のステップより少し短い程度の移動距離と、
長い無敵判定をもっている。もちろんFP消費などない。
それでなお、このゲームが難しいと言われるのは、
攻め続けなければならないからである。
獣という、俊敏かつ高体力の敵を前に、
プレイヤーは攻撃を続けなければいけない。
だから回避が簡単な攻撃でも避けられず喰らってしまうし、
逆に欲張らなければ反応できる。そういったバランスを持っていた。
桜井政博氏はゲームをリスクとリターンと語っている。
このゲームの攻撃がリターンと避けられないリスクを伴っているのだ。
しかしエルデンリングはどうだろう。
エルデンリングはローリングの性能も高くないので、
攻撃すること自体に大きなリスクがある。
また魔術や祈祷などを使ったり、バフを重ねるなど
プレイヤーが準備を整えれば高い火力を出せる一方、
ボスの体力も相応のものとなっていて
剣などの武器を使ったプレイングだと、硬すぎる。
だから割合ダメージの出血が一強となってしまう。
(出血を否定するわけではない。私も出血ビルドである)
幅を持たせつつ高難易度を保とうとして、結局一択になってしまう。
それがエルデンリングのジレンマである。
このゲームのおかげで多くのゲーマーがフロムゲーに触れることができた。
だからエルデンリングは成功ではある。
しかし「高難易度で試行錯誤の末、達成感を得る」というゲーム性と
カジュアルな層は相反するものであり、
だからこの大味すぎるゲームが生まれてしまった。
やり方によっては呆気なく倒せてしまっていいのではないか。
そして一周を短くして「次は違うビルドで硬派に戦ってみよう」と
思わせればいいのではないか。
そもそも、カジュアル層を狙ったゲームなのになぜ
大ボリュームにしたのだろう。
探索は楽しいが、カジュアル層には早く進めたいという気持ちがあり
すぐマルギットを倒そうとして、未探索なのでどうしようもない。
その結果トロフィー率が低い=やめた ということなのではないだろうか。
ならばプレイ時間の膨張はカジュアル層にとって良い選択だっただろうか?
もちろん、こうしたところでうまくいくかは分からない。
カジュアルなプレイヤーは普通周回などしないだろうから、
すぐにクリアできて「なんだ、簡単じゃないか」と言われる可能性もある。
ただ、現状よりは歪みのないゲーム性にはなるのではないか。
約束の王、ラダーンのようなボスはもう生んではいけない。
それをフロム・ソフトウェアが承知してほしい。
とても傲慢な感想ではあるが、
私のような新参者も、古参も同じように批判している状況は
注意に値するものではないか。
エルデンリングを超えるような面白くそして明るい楽しさを持つ
ゲームを待っている。