見出し画像

【コラム】一定の期間ごとに頭を巡る、答えの出ない思考の話

構成作家の仕事を始めて15年になります。
とにかく食べられるようになりたくて、バイトしながら必死にやっていた時期を超え、この仕事だけで生活できるようになりました。

食べられるようになってからも、がむしゃらに自分の肉体と精神の安定を保ちながら、より多くの仕事をやれるように、求められるように、と日々過ごしています。

ただ一方で、これ以上何を望んでいるのか、何を求めているのか、考えてしまいます。

学生時代に憧れた業界の仕事に就いて、こんな仕事がしたい、こんな人と逢いたい、といった夢や理想を現実が跳ね返してきて、それでも、あの時見た夢のようにはいかなくても、やりたい仕事や目標に向かってやっていく。

その目標はとても近くにあるようで、でも遠くにも見えて、同世代の同業他者は、僕が学生時代に憧れた仕事をしているような気がして、でも自分も他者から見たら、理想の仕事をしているようにも見られていて、自分の現在地を見失ってしまう。
今やっている仕事を「こんな事がやりたい!」と夢見ていた過去の自分も、もっと大きな夢を見ていた過去の自分もいる。

お金に困っていない事が嬉しい自分も、もっと稼ぎたい自分もいる。
もっと稼いでいる同業の人を羨ましく思い、妬み嫉む気持ちを持ち合わせながら、じゃあ自分がお金を稼いだ時に何をしたいか、というと特に何も浮かんでこない。

他者よりも稼いでいる事で、他者よりも優れているのだと自分に言い聞かせたい、その安心感や誇示が欲しいだけのような気がして、そんな無意味な優越感を得るためにやっているのが大変愚かだと自覚する。

でもフリーランスでやっている以上、明日、1年後、5年後、10年後、どのタイミングでも一切の仕事がなくなる日は訪れる可能性を孕んでいる中、稼ぎではなく、自分が胸を張れる仕事だけをやれば良いだなんて、本当にそれで一定の稼ぎを得ながら、暮らしていけるのか。
それこそ肉体と精神の安定が保てないのではないか。

自分の頭の中にある夢や理想を追い求め、動いているのに、その理想には辿り着けず満たされない。
満たされない事に不満を持つが、でも満たされた時に何が得られるのか、本当に満たされるのかはわからない。
というか満たされない気がする。

………こんな堂々巡りな思考を、言葉と状況を少しずつ変えながら、一定の期間ごとに眠る前に頭の中で繰り返しては、答えが出ないまま眠りにつき、人生を生きていくのでしょう。

noteで文字にしても答えは出ませんでした。
また何ヶ月後かにこの思考を頭に巡らせ眠るのだと思います。
来年、再来年にはもっと自分が腹落ちする答えが出ると良いな、という願いを込めて書きました。

いいなと思ったら応援しよう!