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年俸制を採用したい経営者のよくある勘違い

こんにちは。HIELCCの相談員をしています
特定社会保険労務士の江口裕哉です。毎年、冬前になってくるとプロ野球選手の契約更改のニュースを目にします。

活躍した選手の年俸が何%アップしたとか、活躍できなかった選手の年俸が何%ダウンしたとか…

今回は会社経営者から「社員に新しく年俸制を採用したいんだ」と相談を受ける時の経営者の勘違いをお話したいと思います。

「年俸制」とは、労働者に支払う給与の金額を、1年単位で決定する給与形態のことで個人の成果や業績などを基に給与総額を決定します。

但し年俸制だからと言って1年分をまとめて支払うことはできません。

労働者の場合には賃金の支払い原則の一つに「毎月払い」がありますので、決定した年俸額を12で割って毎月支払うケースや、16で割って16分の1を毎月支払い、16分の2を夏と冬にボーナスとして支払うケースなどがあります。
今回はよくある勘違いの主な2つを紹介します。

①年俸制であれば残業代を払わなくてもいい
②年俸制なので業績や評価が悪ければ更改の時に自由に減額できる

まずは、

①年俸制であれば残業代を払わなくてもいい

年俸制を採用されている方が管理職の方や外資系企業が多い印象があるので残業代が不要と思うのかもしれませんが、年俸制を採用していても労働基準法第41条の「労働時間等に関する規定の適用除外」に該当する労働者以外については、労働基準法で定める労働時間を超えて労働させるときは、時間外労働として割増賃金を支払わなければいけません。

次に

②年俸制なので業績や評価が悪ければ更改の時に自由に減額できる

日本のプロ野球選手は、労働基準法上の「労働者」として判断されておらず、個人事業主として考えられるので、成績が悪くなると球団からの査定に基づき報酬が減額されたり最悪は球団との契約を解除されます。しかし、労働者である場合には年俸額というのは重要な労働条件の一部です。労働条件の変更は原則お互いの同意が必要になりますから会社が一方的に更改時の年俸を下げることはできません。
年俸を減額する際の「条件」や「減額可能な範囲」といったルールを就業規則や賃金規程などに定めている場合、ルールの範囲内でのみ減額できると考えられます。

他にも注意点がありますので、年俸制を採用する際には想定していないトラブルが発生しないように、ルールや運用方法を正しく理解した上で、年俸制を導入しましょう。


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