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【児童文学評論】 No.97  2006.01.25

hicoは、昨年末からアトピー性皮膚炎らしきものでのたうち回っており、一冊も読めませんでした。ごめんなさい。 ***** あとがき大全(54回目)金原瑞人 1.今回、あとがきはひとつだけ  12月29日に出たアレックス・シアラーの『世界でたったひとりの子』(竹書房)のあとがきを。    訳者あとがき  『ミッシング』のあとがきでも書いたが、シアラーは書くたびに、題材もテーマも変わる。今回はSFだ。舞台は、そう遠くない未来、老化を防ぐ薬が発見されて、だれもが若くいられるよ

    • 【児童文学評論】 No.98 2006.02.25

      絵本読みのつれづれ(12) 「あいだ」にあるもの(鈴木宏枝) (Tさん 3歳8ヶ月、Mくん 1歳0ヶ月)  Mくんは2月16日に満1歳になった。写真はお姉ちゃんと一緒に写っているものが多いし、お下がりも多いし、なんとなく「二人目の宿命」を背負いつつあるが、それでも、赤ちゃん時代はそれなりにつきっきりだし、ハイハイとかうつぶせとかたっちとか、いろんな貴重な瞬間を(時にはTさんも一緒に)目撃できたのはうれしかった。0歳児の1年は長く感じられる。誕生日にあたって、改めて生まれたて

      • 【児童文学評論】 No.99 2006.03.25

           あとがき大全(56回目)金原瑞人 1.YAというジャンル  これについて、四月号の「小説すばる」の座談会から。 金原 エンタテイメントで売れ線だったミステリーがかつてほどドル箱ではなくなった。以前は、ホラーだけど謎解きの要素があるからミステリーに入れたり、幻想小説なんだけどちょっと無理してミステリーに入れたり、と吸引運動が大きくなってミステリーがどんどん膨れ上がった。それが崩壊した後に、エンターテイメントで何がおもしろいかというのでYAがきている。YAはジャンルじゃ

        • 【児童文学評論】 No.100  2006.04.25

          あとがき大全(57)金原瑞人  前回、『アイアンマン』『星を数えて』『盗まれた電撃』のあとがきを掲載して、今月、さて、どうしようかなと思ったら、「あとがき」がない!  本が出ていないことはないのだ。  まず、3月に『英米ホラーの系譜』(ポプラ社:「ホラー・セレクション」第9巻)が出ている……のだが、これは監修と翻訳の両方。  ポプラ社の「ホラー・セレクション」、ジェネラル・エディターは赤木かん子。そのうちの第9巻目をぼくが担当した、ということ。  この『英米ホラーの系譜』(

        【児童文学評論】 No.97  2006.01.25

          【児童文学評論】 No.101  2006.05.29

          *以下、ほそえです。 児童文学書評2006.5月 ○イラン、モンゴル、インド、台湾、中国……アジアの絵本 「絵本 西遊記」唐亜明文 于 大武絵(2006.3 偕成社) 「ぼくのうちはゲル」バーサンスレン・ポロルマー作 長野ヒデ子訳 (2006,4 石風社) 「フルーツちゃん」ハミード・トラーブリー作 ジャアファル・エブラーヒーミー文 愛甲恵子訳  (2006,4 ブルース・インターアクションズ) 「ごきぶりねえさん、どこいくの?」M・アーザード再話 モルテザー・ザーヘディ

          【児童文学評論】 No.101  2006.05.29

          【児童文学評論】 No.102  2006.06.25

             あとがき大全(58)金原瑞人 1.英語教育を語る  いままで、こんなことおおっぴらに語ったことはないのだが、さすがに黙っていられなくなってしまった……のだ。  じつは、今年の一年生から、うち(法政大学社会学部)では、英会話の授業を廃止した。  現在の大学の英語教育の流れとは真っ向から対立しているのは承知している。  が、いまの日本で、多少でも英語にかかわろうとする人にとって必要なのは、英語の読解力だと思う。  もう二十年以上前から、日本における英語教育の文法・講読中心

          【児童文学評論】 No.102  2006.06.25

          【児童文学評論】 No.103 2006.07.25

             あとがき大全(59回目)金原瑞人 1.自主規制、差別問題、ブラッドベリ  サンフランシスコで映画関係の仕事をしている角谷君から、メールがきた。  そうそう、こっちで禁煙推進団体とか何とかが喫煙シーンをR指定にするように、って抗議行動を起こしたらしい。未成年に悪影響を与えるから、というのがその理由。R指定を避ける為に、下着を着たままの unsafe sex シーンがPG-13で、喫煙シーンがR? そういう臭い物に蓋をするような rating をして、ホンマに子供が悪

          【児童文学評論】 No.103 2006.07.25

          【児童文学評論】 No.104 2006.08.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp> 【連載】絵本読みのつれづれ(14)絵本と日常 (Tさん4歳3ヶ月 Mくん1歳6ヶ月) 前回の絵本読みのつれづれ(13)で、間違いがありました。誤『ねずみくんのちいさなおうち』⇒正『ねずみちゃんのおうちさがし』関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをおわびして、訂正いたします。 夏休み。7月は下田の海へ、8月は京都に帰省へと、しっかりお出かけもしたし、お友だちにも会った。旧盆以降はのんびりそのもので、Mくんは、

          【児童文学評論】 No.104 2006.08.25

          【児童文学評論】 No.105 2006.09.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp> 【絵本】 『プロイ HIV母子感染孤児プロイへの手紙』(会田法行:写真・文 ポプラ社 2006.08 1300円)  会田は前作『被爆者』で、戦後生まれ(1972)としての距離を十分意識しながら、被爆を考え、被爆者とつながり、語っていた。その誠実さに打たれたものだが、今作でもそれは同じだ。被写体であるHIV母子感染孤児プロイといつしか交流が深まり、向き合い、やがて寄り添っても行く様が、ゆっくりと語られていく。そこに

          【児童文学評論】 No.105 2006.09.25

          【児童文学評論】 No.106 2006.10.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp>    あとがき大全(61) 1.今回は短いです  前回の原稿を書いてから出た本はロバート・ウェストールの『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店)一冊だけ。  そのうえ、この本にはあとがきが、ない。  というわけで、今回、ここに載せるあとがきはない。  決してさぼっていたわけではないのだが、まあ、出版時期が重なったり、空いたりというのはよくあることで……と書きながら、あれ、11月に出版予定の本って、あったっけ?  すで

          【児童文学評論】 No.106 2006.10.25

          【児童文学評論】 No.107 2006.11.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp> 【絵本】 『ハンタイおばけ』(トム・マックレイ:文 エレナ・オドリオゾーラ:絵 青山南:訳 光村教育図書 2006/2006.10 1400円)  ネイトくんの元にハンタイおばけが現れる。驚いて、パパに「てんじょうに ハンタイおばけが たっているんだ!」って教えたけど、ハンタイおばけですから、消えてしまいます。それからハンタイおばけは色々いたずらをするのですが、みんなネイトくんのせいになってしまう。さて、どうする?

          【児童文学評論】 No.107 2006.11.25

          児童文学評論】 No.108 2006.12.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp> 【絵本】 児童文学書評2006.12 ○詩のある絵本 「ひとり」「おひさま」のうさぎのおはなしえほん 片山令子文 片山健絵 (2006.11 ビリケン出版)  絵本ってものには<詩>がないとだめなんだよ。言葉とか絵のなかに。言葉のなかの詩は、いつもの使い慣れた言葉が、こんなふうにこの場面で使われるなんて、という驚きをもってくる。いつもの見慣れた物事が、こんな言葉で表現されるなんて、なんて素敵なんだろう、という喜びをも

          児童文学評論】 No.108 2006.12.25

          【児童文学評論】 109  2007.01.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp>  初めまして。令丈ヒロ子です。 いきなり登場してすいません。 評論など縁のない世界だと思っていたんですが、なぜかこのようなことに。 しかし、せっかくの機会なので、私がおもしろいと思った本を紹介させていただきます。では始めます。 「へこましたいシリーズ」東多江子・作、いのうえたかこ・絵。講談社青い鳥文庫。 このシリーズを読んだ時、「これはいけない」とあぶら汗が出ました。と言いますのは、わたしは自分が大阪人であること

          【児童文学評論】 109  2007.01.25

          【児童文学評論】 110  2007.02.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp> 【絵本】 『ハエくん』(グスティ:さく 木坂涼:やく フレーベル館 2004/2007.01 1300円)  ハエくんは、楽しみにしていた泳ぎに出かけます。もう楽しい楽しい、が、実はその泳ぎ場は・・・。  あ~言いたいけど言わない。  楽しい作品です。  絵本の力を見せつけてくれます。(ひこ) 『ぼく きょうりゅうに なったんだ』(ステラ・ブラックストーン:文 クレア・ビートン:絵 藤田千枝:訳 光村教育図書 2

          【児童文学評論】 110  2007.02.25

          【児童文学評論】 111  2007.03.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp> 三辺律子 『したかみ村の牧師さん』(ロアルド・ダール作 クェンティン・ブレイク絵 柳瀬尚紀訳 評論社 2007年1月)  モツレジター村のロバート・ノリス牧師は、着任早々やっかいな病に悩まされる。話すときに言葉や文句をあちこち入れ替えてしゃべってしまうのだ。それも無意識なので、本人は気づかないから、さあ大変。村の有力者「アン・ダラホーさん」は「アホンダラーさん」、「新任の牧師」は「親睦の死人」、自分の名前まで「ス

          【児童文学評論】 111  2007.03.25

          【児童文学評論】 112  2007.04.25

          〔児童文学書評〕 <http://www.hico.jp>  こんにちは、令丈ヒロ子です。  ふと思い出したことがありまして。  前に、池袋の某大きい本屋さんから「おすすめ本3冊選んでください」と言われて、選んだ3冊があるのです。  そのときは、特になにかテーマがあったわけではなかったのですが、なんとなく選んだものが3冊とも「子どもがなにか職業のプロとなり大人顔負けの活躍をする」という内容でした。  私自身が、そういうテーマが大好きで、デビュー作に近いものからそれをやり続け

          【児童文学評論】 112  2007.04.25