これから右寄りの人たちはマスコミをどうやって攻撃するんだろう?

Quoraに旧統一教会のことを書いた。その中に「反日系の教え」というフレーズを気に入らないと思った人がいたようでエビデンスを寄越せという。これは有名なものがある。ワシントン・ポストが「エバ国家」という概念に言及した記事を出している。「はいこれね」と思い提示してみたのだがレスポンスはなかった。おそらく「単なるあなたの思い込みですよね」ということが書き込みたかったんだろうと思う。

https://www.washingtonpost.com/world/2022/07/12/unification-church-japan-shinzo-abe/

まあ、それは良かったのだが改めて調べて見ると日本語でも番組が作られていた。TBSが地上波以外の媒体で結構長めのプログラムを作っているのだ。すっかり内容が薄くなった報道特集よりは骨のある内容だ。この番組の43分くらいのところから天聖経という形で「エバ国家」が紹介されている。つまり日本は罪深いエバの国なのでアダム国家である韓国が助けてやらなければならないし、そのために日本は無尽蔵にアダムに貢がなければならないという教えだ。

もしかして統一教会について話をするにあたってこの辺りのことがあまり知られていないのだろうか?と不思議に思った。こんなのは常識だと思っていたからだ。

さて、ここまではよく知られた話なのでドヤ顔で語るようなことでもないと思うのだがひとつ気が付いた点がある。これまで人権擁護の立場からTBSなどのリベラルなマスコミの話をすると「中国とか韓国の影響を受けた反日的な内容だ」というクレームが必ず入っていた。

ところが今回は実際に反日的な内容が含まれている。ところがその反日的内容が「韓国人全般」ではなく、安倍政権と結びついてしまっている。番組の中で語られているように、おそらく政権は「反共産主義」だと思い込んで教団と付き合って来たわけで「反日的」という側面は知らなかったのだと思うのだが、結果的に広告塔になっていたことは間違いがない。

そうなると、彼らがお得意だった「マスコミ=反日」というレッテルが使えなくなってしまうのである。だいたいマスコミは中国か韓国に操られた反日だから無視して良いと考えれば丸く問題を収めることができていたわけでそのカードを使えなくなるのは痛いのではないか。我ながら余計なお世話だなあとは思うのだが、彼等はこの先どうやって認知的不協和を克服してゆくのだろうということがとても気になった。

そもそも民族や国家が弱体化するかもしれないという弱気な小市民的感情の発露だと考えるとそのままいわゆる「保守」への期待が消えてしまいそうな気がするのだが、あるいは一部が過激化してしまうのかもしれないと思う。この矛盾を解消するためにはそれよりも大きくて誇大な物語が必要とされるからである。

この辺り日本のネット思想史にどう言う影響が出るのか?をみんなに聞いてみたいところだが、おそらく感情的な反発を生むだけでまともな回答はつかないんだろうなあと考えて質問を投げるのはやめた。

あと、余計なお世話ついでに言うと、かつてこの手の人たちは伝統的右翼運動(街宣車を乗り回すような人たち)とか純粋理論派保守の人たちとのおつきあいがあったはずだ。彼らもまた「なぜよりにもよって反日民族主義と結びついたのか」と怒っているのかもしれない。

今の日本の保守にこの辺りを整理してまとめることができる人はいるんだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?