‟ときの神様” の正体
人に待たされてイライラ……
人を待たせてオロオロ……
時間にしばられて生きていると
いつもあせる
ちょっぴり心の持ち方を変えよう
人に待たされたときは
「今、自分のやさしさをあげてる」
人を待たせたときは
「今、相手のやさしさをもらってる」
そう思うだけで
心にふっとゆとりが生まれる
そこに“ときの神様”がやってくるんだよ
*
時間って、得体の知れないものだと思いませんか?
つまらない話を聞いているときはゆっくり進み、おもしろい話を聴いているときはあっというまに過ぎる。
「あと5分しかない」と思うか、「まだ5分ある」と思うかで伸び縮みする。
また、人でも物でも、はじめて出会った時間がものすごく濃密で、運命的なものを感じた……そんな経験はありませんか?
私たちが、時間を長く感じたり、短く感じたり、消えたように感じるのは、“ただの気の持ちよう”なのでしょうか?
実は、時間の長さや濃さというものは、あなたしだいで変わるものなんです。そういわれても、すぐには信じられないかもしれませんね。
では、宇宙にはふた通りの時間が存在すると言い換えましょう。それを理解すれば、あなたはすばらしい“ときの使い手”になれますよ。
ギリシア語には時間を表わす言葉がふたつあります。
『クロノス』と『カイロス』。両方とも“とき”と訳されますが、内容は大きく違います。
『クロノス』は、ギリシア神話に登場する“ときの神”の名称で、機械で計ることのできる“とき”。
私たちがふだん「時間」と呼んでいるのはこのクロノスです。
クロノスは、常に未来に向けて流れていて、1日は24時間、1時間は60分というように定められています。そして“世界共通のとき”を、精密な時計が刻んでいます。
一方『カイロス』は、機械では計れない私たちの内側にある“とき”。こちらに注目しましょう。
カイロスは、チャンスという意味の男性神の名称で、瞬時に方向を変えたり、消えたりする宇宙的な時間。いわば、クロノスを超えた“とき”なんですね。あなたもきっと体験していると思うので、例をあげましょう。
恋人と見つめ合っているときや芸術作品に心を奪われたとき、「まるで時間が消えてしまったみたい……」と感じたことはありませんか?
あるいは、神がかり的なタイミングやシンクロニシティを体験して、「なんだか別次元のときが流れているみたい……」と感じたことはありませんか?
カイロスは、あなたにちょっと不可思議な感覚をもたらすかもしれませんが、それはときめきにも似たハッピーな感覚のはず。
この神は、前髪は長いけれど後頭部に毛がないことから " チャンスの神は前髪しかない" ということわざが生まれました。意味は、「チャンスの神が目の前にきたら、すぐつかまえよう。通り過ぎてからではつかめない」。
あなたも、カイロスの前髪をしっかりつかんでチャンスを手に入れてくださいね。
私たちが時間の奴隷になって、クロノスに心を支配されてしまうと、カイロスがめぐってきても気がつかないかもしれません。
すると困ったことが起こります。人生で重大な決断をしなければならないときに、考えすぎてタイミングを逸したり、不本意な決断をしてしまう恐れがあるのです。
重大な決断は、結婚、離婚、転職、渡航、引越など、数多くあるでしょう。そんな人生のターニングポイントを知らせてくれるのは、いつもカイロス。
あなたが飛躍するのは、そんな宇宙のタイミングと自分のバイオリズムが合致したときなんです。
そんなこととはつゆ知らず、「今は仕事が忙しい」「お金の都合もあるし」と理屈を持ち出して迷いはじめれば、そのあいだにカイロスは通り過ぎてしまうでしょう。
私が田舎暮らしをはじめたきっかけは、黒姫山をひと目見たとき「この山が呼んでいる」と直感したから。それも「いつか」ではなく「できるだけ早く」と感じたからなんですね。
その直感が勇気をくれて、具体的なことはあとから着いてきたという感じです。
あなたも直感を信じて、「するなら今!」「ここが潮時!」「この話に乗った!」「いや、この話には乗らない!」と、感じたままに動いてみませんか。
理由は、「どうしてかわからないけど、強くそう心に感じたから」でいいんですよ。
私たちはクロノスによって社会とつながり、カイロスによって宇宙の叡智とつながっています。
しょっちゅう時計を見てクロノスを確認するように、心を透明にして、カイロスを見逃さないようにしたいもの。
そのためには、あせらないことが一番! 耳をすませるように心をすませて、物事を決めるときは「これでOK?」と直感にたずねてみましょう。
あなたの人生の“とき”が熟せば、チャンスの舟が偶然を装ってあなたの岸にたどり着きます。
それは一見、ラッキーとは思えないような出来事を連れてくるかもしれませんが、あなたが「今だ!」と感じたら、迷わず舟に飛び乗って持てる力を出し切ってくださいね。
きっと数々のシンクロニシティが起こって、思いもかけない形で事態が進展しますよ。
そもそも人生は、いつだって予測不能なのです。だからこそ、カイロスを味方につけて大きな夢を叶えましょう。
★ 著書『幸せは、すぐそばにあるから』(幻冬舎)より★