欲望に振り回されそうなあなたへ
「今より幸せになるために何がほしいですか?」
そんな質問をすると、多くの女性から、「もっと美貌がほしい」「もっとお金がほしい」「もっと時間がほしい」という答えが返ってきます。
それが手に入れば、今よりもいい恋やいい暮らしができて、幸せになれそうな気がするのかもしれません。
けれど、目の色を変えて欲望を追いかけても、得られるものはいっときの満足。
その満足が通り過ぎたあとには、ふたたび 〝終わりなき欲望〟に心を奪われて、ガツガツ、イライラ、クヨクヨする自分が取り残されるのです。
私たちはお腹いっぱい食べても、しばらくするとまたガツガツします。
タンスいっぱいの洋服があっても、買い物ができないとなるとイライラします。
鏡を見るたびに、どうすればもっときれいになれるだろうとクヨクヨします。
そうやって四六時中、欲望に振り回されていると、〝本当の幸せ〟にたどり着けなくなってしまうんですね。
あなたの人生の〝真の目的〟は、欲望の鎖をほどいて、本当の幸せに目覚めることなのです。
真の目的? 本当の幸せ?
そんなことを言われてもキョトンとしてしまうかもしれませんね。
では、あなたは今までに、「私はこんな些細なことで心をかき乱されるために生まれてきたんじゃない。もっと心穏やかに生きていきたい!」と感じて、思わず泣きそうになったことはありませんか?
それは魂の叫びであり、それこそが真の目的なのです。
その声に耳を傾けて、心穏やかに生きる術をマスターしましょう。
それをひと言で言うと、終わりなき欲望に「とらわれない」ようにすることなのです。
ガツガツ、イライラ、クヨクヨする自分を越えて、些細なことに執着しない自分をつくりましょう。
「えー、そんなのムリ。むずかしくてできない」と思いますか?
大丈夫です。それを可能にする、おどろくほど簡単な呪文があります。
「ま、いっか」
これを口癖にしましょう。
「また太っちゃったぁ……。ま、いっか」
「睡眠不足で目の下にクマが……。ま、いっか」
「手が滑ってカップを割っちゃった……。ま、いっか」
すでにそうなったことに関しては、思い悩む前に未練を断って、一刻も早く気持ちを切り替えるほうが賢明です。
それを命令する一番やさしい言葉が「ま、いっか」なのです。
「ま、いっか」という言葉は、波立った心を白紙に戻す、いわばスイッチのようなものなんですね。
私は「ま、いっか」と声に出して言えないときには、指をパチンと鳴らして第二のスイッチにすることもあります。
この言葉が力を発揮するのは、過ぎたことだけではありません。
まだ起きてもいないことに不安を覚えたときも、これで執着を吹き飛ばすことができます。
「このままプロポーズされなかったら……。ま、いっか」
「生涯、ずっと独身かも……。ま、いっか」
「次は私がリストラされる番!? ま、いっか」
人生に生じるかもしれないどんなことにも、もう取りこし苦労をする必要はありません。
自分にやさしい生き方をしましょう。余計な心配をせず、「ま、いっか」の精神で、今できることを淡々とやっていったらいいんですよ。
自分にやさしい生き方ができるようになると、ジワジワと心に迫ってくる喜びがあります。
「これでいいんだ……」というやすらぎのなかにある喜び。それこそが、本当の幸せなのです。
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Poem/ほんとの幸せ
ほんとの幸せは、
高価なものを次々と手に入れることじゃなくて、
執着から自由になれること。
羽が生えた天使みたいに、
心をフワリと宙に浮かせて、
なんにも悩まないで、
やすらかに生きられること。
★ 著書『ありのままのあなたで』(かんき出版)より★