オープン4周年記念 アニバーサリーコース開始!
東京・白金のフレンチレストラン「ラ クレリエール」のオーナーシェフ、柴田秀之です。
“はじめまして”の方で、柴田の思いや日々考えていることを綴った【ミシュラン三つ星レストランへの挑戦】に興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、コチラからご覧ください。
→ 第一章 レストランのシェフになる(vol.1~4)
半年遅れのアニバーサリー
僕が独立して「ラ クレリエール」をオープンしたのは2016年4月21日のことでした。そこで今年はちょうど4年目にあたる4月21日(火)から5月6日(水)まで4周年記念のアニバーサリーコースをお楽しみいただくつもりでした。
しかし新型コロナウイルス感染症拡大防止のためにお店は4月2日から5月31 日まで営業を自粛。アニバーサリーコースのご提供も延期を余儀なくされました。
自粛期間中に衛生面の配慮や席間の確保など感染予防対策をしっかりと講じ、6月1 日から営業を再開しました。そして、これまでの4年間、自粛期間中、営業開始後を支えてくださった皆さまに感謝の気持ちをこめて、今週11月18 日(水)から12月21 日(水)までアニバーサリーコースをお届けしております。
4年目だからこそ作り出せたトリュフの美味しさを伝える一皿
4周年記念アニバーサリーコースは、「ラ クレリエール」らしく全12皿という盛りだくさんな内容でお届けします。4年目にあたるこの1年間に作り上げたお料理の中から、僕が「特にクオリティが高く印象に残っているお料理」を選び抜き、季節感も盛り込んだ特別コースです。
たとえば、前菜では「白子、鴨のコンソメ、トリュフ」をお楽しみいただきます。
「白子×トリュフ」はフランス料理ではお馴染みの組合せですが、この料理では「トリュフの美味しさはこういうところにあるんだ」ということを伝えたい。トリュフは香りも味わいも強いので、焼いたお肉の上にスライスして乗せただけでも楽しめます。でも、それではトリュフの本質的な魅力は伝わらないと常々感じていました。トリュフは加熱することで魅力が引き出されますし、加熱する温度や切った形、スライスなら厚みによって味わいが変わってきます。つまり、いかに”料理”するかが大切なんです。だからこそ、トリュフを扱ってきた歴史が最も長く勉強量も多いフランス料理人が、その魅力をしっかり伝えるべきことだと僕は思うのです。
今回のお出しするのは、温かいお皿にトリュフをスライスして入れ、上に鱈の白子のムニエルを置いて、温かいコンソメを注ぐというお料理です。お皿の上にトリュフの姿は見えないけれど、食べ進めるうちにコンソメの熱でトリュフの香りや味わいが溶け出してきて、最後にはトリュフそのものが味わえる仕組みになっています。
実は、案としてはずっと前から頭の中にはあったお料理でした。ただ、コンソメとトリュフの組合せなんて美味しいに決まっているので、自分でなくても表現できるものだと考えていました。4年目になって、食べ進めると味わいが変わる面白さを表現する技術が身についたことで、作ってみようという気持ちになりました。言うなれば4年目だからこそ完成させることができた一皿ということで、今回のコースに入れることにしました。
魚料理は1年目から作り続けている人気の一皿
一方、魚料理でお出しする「スープドポワソン」は1年目から作り続けているお料理です。古典的なフランス料理ですが、「ラ クレリエール」では最後に白味噌を入れて仕上げます。味噌は、塩分や旨み、発酵食品の特長など多様な要素をもつ魅力的な食材ですし、フランス料理に使いたいと思っていました。そこで赤味噌や合わせ味噌など様々な種類を試した結果、程よい甘みのある西京味噌に行きつきました。
もう一つ、今回僕がこだわったのはフランスのルージェ(ヒメジ)を使っていることです。ルージェは日本では大きなものは捕れにくいですが、フランスでは内臓を使ってソースが作れるような大型のルージェが出回ります。体色が赤く、焼くと甲殻類のような風味のある高級魚です。そのアラでとった濃厚な出汁をお楽しみいただきます。
「アラを使う」のは、美味しいのはもちろん「食材をまるごと使いきりたい」というところも大きいです。これだけモノが溢れている世の中で、さらに新しいモノを持って来てゴミを増やすのか?今までに使っていたモノを使うことはできないか?無駄をなくす工夫はできないか?「生きていたもの」だった食材を捨てることなくしっかり使いきるにはどうすれば良いか?「ラ クレリエール」で僕が常に考えていることです。そしてそれをお客様に喜んでいただける料理に昇華させるのが、料理人の知恵とセンスであり腕の見せどころだと思っています。
4周年記念に相応しい凝縮のアニバーサリーコース
「4年目にあたるこの1年間に作り上げたお料理」と書きましたが、今回は2品くらい新しいお料理も入れています。例えばアミューズでお出しするセップ茸のお料理は、「今年の中で一番良い」と思えた一皿。4年間積み上げてきた中でのお料理と4年目の現在進行形のお料理とを取り入れた、今だからこそ出来る「4周年を迎えたラ クレリエールを凝縮した特別なコース」です。
そんな僕の想いが詰まったお料理をお客様に体感いただき、楽しんでいただけたら幸いです。
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このnoteを初めて読んでくださった方へ
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初めまして。ラ クレリエールの柴田です。
白金でフレンチレストランのオーナーシェフをしています。
2020年のコロナ自粛の間、レストランのあり方や自分が今後進むべき道など色々と考えました。その中で「ミシュランで三つ星を獲得すること」を一つの指標として強く意識するようになりました。
そして、どのようにすれば三つ星を獲得できるのか、三つ星にふさわしいと皆様から認めていただけるのか、日々、考えたことや行動したことを記録に残そうと考えました。
ご興味を持っていただけたら幸いです。
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