貞包ゼミ紹介(立教大学社会学部現代文化学科)
貞包ゼミのご案内
ゼミの主題
「消費社会を考える」
現代社会は、消費を中心に動く消費社会としてつくられています。わたしたちの身近な活動、たとえば生き、食べ、どこかに暮らし、旅行し、学び、働き、誰かを愛すことも、お金で何かを買うことと切り離せないのです。
このゼミでは、こうした消費を視点としながら、多様な社会の活動について考えていきます。
(消費社会を考えることの意義についてより詳しく知りたい方は、部分公開ですが、たとえば「わたしたちが買うときにおこなっていること――なぜ消費は社会学的に研究されるべきなのか?」を参照ください。)
ゼミの進め方
まず3年の前期は、消費社会に関する基礎文献を読んでいきます。(見田宗介、ボードリヤール、内田隆三、ダニエル・ミラーなど)
それを踏まえ、3年の後期には消費社会に関するなんらかのフィールドワークをおこないます。近年では少数のグループで東京の街、とくに韓流文化と新大久保のかかわり、ファッションと原宿、下北の関係、秋葉原のオタク文化についてのフィールドワーク(アンケート、インタビューを含む)をおこないました。
それと並行して各自の関心を深め、四年生では各々関心のあるテーマで卒論を書いていきます。
基本サブゼミなどは行わず、授業時間内で行われます。ただし年数回の街歩き(新大久保、原宿、豊洲など)、個人面談、卒論発表会を行っています。
また年2、3度の親睦会(飲み会、ハイキング)なども行っています(自由参加ですが参加してくれると嬉しいです)。
合宿
夏休みに3、4年生合同で合宿を行っています。都市を歩きながら、消費社会について各自新たな視点を掴むことが目的です。コロナ期間中を除き、2019年ソウル/秩父、2022年山形・仙台、2023年 ソウルに各2泊3日で行きました。(参加を望みますが、必須ではありません。)
卒論のテーマ
各自の関心に沿って自由ですが、消費(お金を使って何かを買うこと)の視点を入れてもらえると嬉しいです。
近年扱われたテーマは、ファッション、アイドル、子供服、アフタヌーティー、制服、韓流スター、カフェ、海外旅行、出会い系アプリ、地方都市、スポーツ(サッカーや野球など)、ディズニーランド、お笑い、ラジオ視聴、ホラー映画、本屋などです。
3-5回の発表、希望者による個人面談を経て論文を仕上げていきます。
ゼミの構成
社会学科、メディア社会学科の学生も歓迎です。特別外国人学生にも参加して貰う場合もあります。休学して留学の方も一定数いますので、学年は混交します。
ぜひ来て欲しい人
自分の関心を追求できる人。
社会について考えることをこれからの人生に活かしたいと思っている人。
本をよく読む人。
ゼミで積極的に新しい視点や友人関係を得たいと思っている人。
補足:自己紹介
貞包英之(さだかねひでゆき)
消費が社会生活にいかなる影響を及ぼしているのか、つまり消費がいかなる自由と制約をわたしたちの生活に与えているのかについて、現代を対象に、または歴史的視点から研究しています。(消費社会論、歴史社会学)
これまで取り上げてきたテーマは、マンガやアニメなどのサブカルチャーの消費、高層マンション、地方都市の生活、自殺と保険のかかわり、アートフェスティバル、江戸時代における消費(遊郭、食、観葉植物)などです。(より興味のある方は、『消費社会を問いなおす』(筑摩書房、2023年)をお読みください)
いまは20世紀にファッションが若者の生活を変えてきたのか(VANや渋カジやユニクロ)、加えて、積み重ねられてきた夢の廃墟としての都市・東京のあり方をアジア的視点から分析することを主なプロジェクトとして進めています。
単著
『消費社会を問いなおす』(筑摩書房、2023年)
『サブカルチャーを消費する : 20世紀日本における漫画・アニメの歴史社会学』(玉川大学出版部、2021年)
『地方都市を考える 「消費社会」の先端から』(花伝社、2015年)
『消費は誘惑する 遊廓・白米・変化朝顔~一八、一九世紀日本の消費の歴史社会学~』(青土社、2015年)
おもな共著
『自殺の歴史社会学 「意志」のゆくえ』(青弓社、2016年)
『多様な子どもの近代 稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社、2021年)
『日本の死角』(講談社、2023年)
おもな記事
「アートと地方の危険な関係〜「アートフェス」はいつまで続くのか?」
「巨大化するショッピングモールは、地方都市の「最後の希望」か「未来の廃墟」か」
「東京の閉塞を描く『天気の子』は「わたしたち」の物語になるだろうか」
「K-POPやKドラマ好きは“自分に自信がある勝ち組”なのか!? 新大久保の街の変化から見る“韓流ファン”の姿とは」
訳書
ダニエル・ミラー『消費は何を変えるのか:環境主義と政治主義を超えて』(法政大学出版局、2022年)など。
(詳しくはhttps://univdb.rikkyo.ac.jp/view?l=ja&u=100001729参照)