シリコンバレーでの気づきと、digglueのグローバルへの挑戦
こんにちは、digglueの原です!
今回、JETROのプログラムでスタンフォード大学のStartXというアクセラレータープログラムに参加し、サンフランシスコのシリコンバレーで2週間強(10月26日から11月9日まで)滞在してきました。今回の目的は、海外展開の可能性を模索することでしたが、結果として、大きな可能性を感じ、参加して本当に良かったと心から思っています。ビジネスの可能性を探る旅でしたが、ここでの学びを皆さんにもシェアしたいと思い、このブログを書くことにしました。
StartXについて
StartXについて簡単に説明すると、StartXはスタンフォード大学発のアクセラレータープログラムで、シリコンバレーのど真ん中にあるスタートアップ支援コミュニティです。世界中から才能溢れる起業家たちが集まり、お互いに学び合い、成長し合うことを目的としています。もちろん、私たちdigglueもこのエコシステムの中で、多くの学びを得ることができました
印象的だった日本との違う点
シリコンバレーと日本の違いで、特に印象的だったのは人々の「オープンさ」です。シリコンバレーで出会った人たちは、皆とてもオープンで話しかけやすい雰囲気でした。実際に話しかけると、しっかりと話を聞いてくれる人が多くて驚きました。ただ、内容がつまらなかったり興味を持ってもらえない場合は「話せてよかったよ、ではまたね」という感じで、すぐに会話が終わることもあります。これは決して失礼なことではなく、お互いの時間を無駄にしないための、ダラダラ会話を続けないための良い文化だと感じました。
また、“Good!”という言葉を頻繁に聞いても真に受けてはいけないのがポイントです。シリコンバレーでの“Good!”は、実際には文字通りのGood!ではなく、単なる相槌に近いのことがほとんどです。本当に興味がある場合は、質問がバシバシ飛んできます。
こうしたオープンさは、スタートアップを支援するエコシステムがしっかり形成されているからこそ実現していると感じました。シリコンバレーでは、スタートアップを応援しようとする人たちが日本とは比べ物にならないほど多く、その支援が単なる利益追求に留まらず、本気で情熱を持って取り組んでいるように感じます。多くのスタートアップが生まれ、その90%くらいが死に、残る10%がとてつもなく大きくなる。日本は生き残りの割合こそ高いですが、マーケット自体もそこそこで終わってしまう企業が多いです。
自分の個人的な観点では、日本とアメリカのサイズの違いの文化がそのままビジネスにも現れて来ているように思います。アメリカの自然は雄大でダイナミック(例えばグランドキャニオンなど)、一方で日本の自然は繊細で美しい。どちらが良いというよりは、元々そういう環境の違いがあるだけなんですが、現世を席巻する資本主義的な観点でいうと、やはりアメリカのカルチャーは強いと感じます。
イベント参加や立ち回りかた
今回の訪問の大きなイベントの一つとして、TechCrunch Disrupt 2024にも参加しましたが、期待していたほどの有用なリレーションを築くことはできませんでした。そもそも参加している大手企業や投資家の参加も想定よりずっと少ないく、ビックサイトなどで開催されるイベントのほうがdigglueの顧客に会うには適しているよう感じます。ただし、毎日開催されるサイドイベントでは多くの人と出会うことができ、そちらのほうがリレーションを持つには有用だとも感じました。
そうしたサイドイベントでは、出会った人にひたすら声をかけてピッチしました。そこで重要だったのは、相手が興味を持つかどうか。たとえ30秒くらいの会話でも、自社が何をしているかを分かりやすく伝えることが求められます。特に相手の記憶に残ること、とても重要ですが非常に難しいと実感しました。
実際、私も多くの人と話しましたが、記憶に残っているのはほんの数人程度。英語を流暢に話すことよりも、どれだけ自分の情熱を伝えられるかが重要だと感じました。ロジカルに正しいことを言う人は多いですが、それだけでは相手の心に残りにくいです。だからこそ、自分の想いや目指すビジョンを語り、少しでも相手の記憶に残るよう心がけました。
このときのTipsとして、単に事実を羅列するだけではなく、ちゃんとストーリーとして語ることは非常に有効な手段です。相手に「この人の話は面白い」と思ってもらえるようなストーリーがあると、ピッチの効果は格段に上がります。ただ自分たちのサービスの内容を説明するのではなく、なぜそのサービスを始めたのか、どういう問題を解決しようとしているのか、そしてその解決策がどのように社会にインパクトを与えるのかといった背景や想いを含めることで、相手の共感を引き出しやすくなります。
JICのイベントでは、TechCrunchでの立ち回りをどうしたらよいか、のレクチャーまでやっていました。なんと手厚い。
圧倒的スピード感を生む要因
ご存知の通り、シリコンバレーはテクノロジー企業が多く集まっています。感覚的にはAI関連の企業が90%近くを占めており、サステナビリティやサーキュラーエコノミーに対する理解がまだ浅いと感じました。話した人の殆どは、そもそもサーキュラーエコノミーって何?と、前提知識が大きく異なっていました。
だからこそ、日本で話す内容とはまるっきり変えたり、その反応を見て改善したり、毎日内容を変え何が刺さるのか検証し続けました。この経験ができただけでも行った価値はあります。
このスピード感を生み出しているのは、スタートアップコミュニティがしっかり出来上がっているからこそだと実感しました。MVPを作ってスプリントを1週間で回す、といったことがよく言われますが、日本だと(特に大手企業向けのtoBでは)1週間で検証するのは現実的に難しいと感じていました。しかしシリコンバレーでは、何かを試したいと思ったとき、すぐに話をする相手を見つけることができ、その場でフィードバックを得て次に進むことが可能です。これこそが、圧倒的なスピード感を生む最大の要因だと感じました。
ネットワーキング
シリコンバレーでのネットワーキングは基本的にLinkedInを利用して連絡先を交換します。個人的には、わざわざスキャンして取り込む必要のある名刺と比べて(いつでもメッセージが送れますし)合理的のように感じました。ちなみに、日本だとFacebookの連絡先交換してMessengerでやり取りすることが多いのですが、これは日本だけでしょうか?少なくとも、シリコンバレー進出を考えるなら、LinkedInの準備をしっかりしておくことが必須です。
現地でのコミュニケーションを通じて強く感じたのは、「現地に根を下ろす覚悟」が必要だということです。シリコンバレーでは話しかければ誰でも話を聞いてくれますが、内容が興味を引かないと30秒で会話が終わります。逆に興味を持ってもらえれば、もっと深く話をする時間を作ってくれます。実際にサイドイベントなどで多くの人と話す中で、自分たちのアイデアを何度もブラッシュアップしました。このプロセスを繰り返すことで、終盤にはより良いコンセプトが固まり、当初よりも良い反応を得ることができました。
現地に法人を設立しているか、これから設立する予定があるかを伝えないと、なかなか真剣には受けてもらえません。「どうせ日本に帰ってしまうんでしょ?」と思われてしまうと、適当にあしらわれて終わってしまいます。これは、シリコンバレーに限った話ではなく、海外のどこに行っても同じだろうな、とも思います。
まとめ
StartXのプログラムでは、ピッチやコミュニケーションに関するレクチャーも行われました。知識としてはすでに知っていたことも多かったですが、実際に深く向き合う機会を得られたことが大きな収穫でした。ピッチ、リクルート、資金調達、プライシング、ネットワーク構築など、多くの面で改めて見直すことができ、自分たちのスキルと知識をさらに強化するきっかけになりました。また、元々のプログラム外ではGoogleのオフィスやSalesforceタワーを訪れる機会もあり、現地でのネットワークを通じてさらに学びを深めることができました。
サンフランシスコでの2週間は、私たちdigglueにとって非常に濃密な時間でした。次のステップに進むための多くのヒントを得ることができたので、日本に戻ってからもそれを活かしていきたいと考えています。特に、海外進出のとっかかりを得たことが何よりの収穫でした。今後はシリコンバレーだけでなく、グローバル展開を行うべく、様々な国の開拓と進出を進めていく予定です。そして、私たちのビジョンに共感してくれる仲間をどんどん増やしていきたいです。インターンも募集しています!
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