【MMPI研究3】MMPI-2に学ぶ妥当性尺度③ ~VRINとTRIN
「MMPIでMMPI-2を使う」ことを目指して学んでいます。「MMPI2(by1)」計画と呼んでます。その学びの一端をシェアしたいと思います。本ノートはMMPIヘビーユーザー向けです。
いままでMMPI-2トレーニングスライドをしめしてきました。そのなかでもVRINとTRINがちょっとわかりにくい。より開設を新たにするのが、このノートです
1、VRIN~矛盾した答えのバラエティボックス
再びトレーニングスライドより
(おそらく)唯一、MMPI-2について解説している井手論文 から、その解説をみてみましょう。
・「同じ内容」と「反対の内容」ペアがあり、そのペアに対して、そんなふうにこたえると矛盾してしまう、一貫性がない(inconsistent=非一貫性)回答だぞ、となった場合に得点になる、ということです。
・例えば(Freedman、1990)
項目3,朝はほとんど、さわやかにおきて休めている
項目39、私の眠りは断続的で乱れている
3「はい」―39「はい」のとき得点
項目9,日々の暮らしは、おもしろいことにみちている
項目56、ほかの人がそうであるように、わたしもしあわせだったらとねがっている
9「いいえ」―56「いいえ」のとき得点
項目349,孤独でいるときは決してしあわせではない
項目515,一人でいるのは決してしあわせではない
349「はい」-515「いいえ」 もしくは 349「いいえ」-515「はい」 のとき得点
2、TRIN~矛盾した答えの、「はいーはい」「いいえーいいえ」専門
まずは、トレーニングスライド再掲
そして、再びいでよ、井手論文。
TRINは、「はいーはい」ペアと「いいえーいいえ」ペアが得点されます。「はいーはい」ペアは14対(➀)、「いいえ-いいえ」ペアは9対(②)。
粗点=➀-②+9
ということです。なぜ9を足すかというと「いいえーいいえ」ペアが9あって、粗点をマイナスにしないためです。
そして粗点0~8のときにT得点の後ろに“F”をつける。粗点が9~19ならT得点の後ろに“T”をつける。(例:女性でTRIN粗点が15、得点は95T。男性でTRIN粗点が3、得点は92F)
高いスコアは黙認(yea-saying)、低いスコアは反黙認(nay-saying)傾向を表します。
(※13点以上は黙認(yea-saying)傾向、5点以下は反黙認(nay-saying)、RoberGordonサイトより補足参考)
[補足]
・VRIN,TRINの訳語はスティーブン・フィン「治療的アセスメントの理論と実践―クライアントの靴を履いて」からとりました。MMPI-2は公式日本版はないけれど知る限り唯一翻訳があるものです。
ただ訳語がわかりにくさをましているようにおもいます。
Variableは「変更」だと、何か変数の操作をするような印象をもちます。「可変」とか「変動」とかのほうがまだ内容にフィットしてるのではないでしょうか。
Trueは、項目を「あてはまる=True」としたことがもともとなのかな、と推測します。True-Trueな答えが不一致な場合、ってことなのかな、と。是認と使うと、Greeneの本にはよくendorsementが当てはまると思うんです。項目をendorseする、というと「あてまはるとかあてはまないとかのどっちかをこたえる」といった意味に使われてるようです。まあだからずれてもないけれど、いっそ「はいはい反応非一貫性」なんて法がわかりやすい気もします。ださいネーミングだけれど。
[文献]
Roger L.Greene. An Interpretative manual of MMPI/MMPI-2 1990
Alan F. Friedman.Psychological Assessment With the MMPI-2
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?