【MMPI-2RF学習1】MMPIとMMPI-2RF~基本構造の対応を考える
本ノートは、MMPI2-RFについて学んだことをシェアするノートです。心理検査実践家向けです。
1,なぜMMPI2-RF
まず変化にびびる
ついに、MMPI-3に移行しました。その変化に、仰天しております。
MMPIとMMPI2は関連性が強いのですが、MMPI-2RF以降は、かなりの変化を迎えています。
二つの違いは、なにより基礎尺度が違う(今までの1~0の十個→RC尺度)。そして基礎尺度も尺度間で項目が重複しない。だからこそ2点コードがない。そもそも2点コードは、尺度間の項目重複があるために、いちどにいくつかの尺度があがる。項目重複の一つの対処として2点コードがありました。
MMPIからMMPI3へと飛躍すると、この変化だけでも驚きます。ボクは今までのMMPI解釈では2点コードは解釈のかなめでした。それだけに最初はあんぐりと開いた口が閉じません。どうしてくれんねん、なにやっとんねん。関西弁になってしまった。
さらに。明瞭隠蔽尺度がない、内容重視の項目になっています。MMPIでは、隠蔽項目というのがあって、その尺度の内容とは関係ない項目だけれどその尺度を構成する項目が存在しました。例えば「うつ尺度」のなかに「機械が好きだ」といった項目が入っている、みたいなことです(※本当の項目の内容ではありません、例えば、です)。
明瞭隠蔽項目を使った解釈の仕方は好きでした。その実、明瞭隠蔽項目の差を使った解釈メソッドは、過剰報告を図る目安にもなっていたのですが。残念。
頼るのは2-RF
ぼくらはいま、MMPIからMMPI3への飛躍。これじゃあ今までの参考文献があんまりつかえない。どうしたらいいか。MMPI-2RFは近いから使えます。ご本尊ミネソタ出版のHPにも
そうだ、2-RFは使えるのだ。MMPI-2RFの学びは、MMPI-3に通じる。
ミネソタ出版のここのページには、トレーニングスライドとしてずらっとMMPI-2RFの情報が並びます、ご参照あれ(MMPI-3も同じようなのがある。ここ)
2,基本構造を対応させてみる
それにしても、あまりにかわりすぎた、MMPI-2RF。わじゃわじゃと妥当性尺度がふえてるし。2点コードはないし。古いMMPIの頭から、どうにかMMPI-2RFを理解するフレームがみえてきました。
MMPI→MMPI-2RFとすると、
・2点コード → 高次尺度
・基礎尺度 → RC尺度
・下位尺度・追加尺度 → 特定領域の問題尺度、PSY-5
それぞれみていきましょう。
・2点コード→高次尺度
2点コードはねえっていってんじゃねえか、対応ってなんだ?と思うかもしれませんが、これは2-RF文献を紐解くとわかってきました。高次尺度の開発の経緯を見ると
高次尺度は2点コードの再来!とまではいえないにしても、2点コードの不在を補う意図が生み出したものである、とわかります。
だから、こんな対応をかんがえたわけです。そう、2-RF解釈シートをみるとわかる。
27/72系 ー EID ー RC2,RC7
68/86系 ー THD ー RC6,RC8
49/94系 ー BXD ー RC4,RC9
MMPIで培われた経験値/経験知がある方々は、ここから理解が広がりやすくなるのではないかと思います。
高次尺度は、上記引用部の目的を掲げ、因子分析によって作られています。当然ですが実際の尺度が2点コードと同様というわけではありません。過去の2点コード解釈文は使えませんが、そのエッセンスはひそかに生きるのではないかと思います。
・基礎尺度 → RC尺度
これはわかりやすいところです。以前に書いたもの(MMPI-2トレーニングスライドの一部)にもでてましたが、RC尺度はMMPI基礎尺度と相関しています。
・下位尺度・追加尺度 → 特定領域の問題尺度、PSY-5
ここは、「落穂ひろい」。特定領域の問題尺度は、RC尺度を作っていく際に、ぼろぼろと零れ落ちていった要素があってそれを拾い上げるためのもの、なのでしょう。
開発の経緯の4つのポイントをまとめると
MMPIの追加尺度は百花繚乱、いっぱいあったけれど、わずかに近しいものは「人格障害尺度」は「PSYー5」と近いかもしれません。特定領域の問題尺度のグループは、小さい尺度(構成する項目数が小さいもの)がおおいし、以上の発想からも「下位尺度」が近い、と考えています。
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