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【ネタバレ注意】ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の考察や雑感

映画『君たちはどう生きるか』の考察や感想をざっくばらんに書いていきます。ネタバレをたくさん含んでいるので、まだ映画をご覧になっていない方はご注意ください。




・とにかくセルフオマージュの嵐!!この表現もしかして、このシーンもしかして、ってと思わせるシーンがめちゃくちゃ多い。自分はジブリ作品を全て見ているわけではないけれど、それでも5つ6つ位の作品は浮かびました。きっとすべてのジブリ作品をご覧になっている方ならもっとオマージュされているシーンがわかるんじゃないかと思います。


・大おじさまの石を積む発言。石はおそらく意志(will)の例え。悪意に染まっていない石(意志)が13個見つかったと言っていたのは、宮崎駿監督がこれまでの人生で見つかった13種類の善性のことなのかも?


・産屋に入り、ナツコ母さんと呼ぶシーン。宇野常寛の『母性のディストピア』的には完全に母性に屈服したシーンで、すごくがっかりした。本当は好きじゃないけど父のためだからという理由でナツコを連れ戻すことが、眞人が大人になる回路だったはずなのに。というか、そうであって欲しかった!
母性に飢えている父をナツコという母性に接続することで、自分は母性を、そして母性を求める幼き父を乗り越えて大人になるという道筋なら、とても感動した。そのような形で大人になる道筋を示した作品は他のジブリ作品には無いからた。
でも、実際はナツコ母さんと呼ぶことでちゃんと眞人も母性に捉えられてしまった。実はナツコを救うための嘘だったんじゃないかとも考えたけれど、現実世界に帰るシーンではしっかりナツコと手を繋いでいたから、その可能性は無さそう。ヒミ(=お母さん)ともハグするだけで別れられたのは、次のお母さんが見つかったからだろう。

・クライマックスのシーン、大おじから石を積むように頼まれたけど、それを拒んだ眞人。自分でつけた傷が悪意によるものだからと言って拒否していたけど、本当にそう?ナツコをまだ母さんと認めていないにも関わらず、ナツコ母さんと呼び、その場をとりなしたことに対する後ろめたさを隠しているのではと勘繰りたい気持ち。

・「飛ぶこと」や「もう一度飛ぶこと」を大人になることのメタファーとして描き続けてきた宮崎駿が、飛ぶことの象徴である鳥たちをこんなにも醜悪で嫌悪感を抱かせるように描いたのは驚いた。自分の過去作品を否定し、飛ばずに大人になる道筋を探したけど失敗したように思う。傷ついた男に新しい母性をあてがうようなつくりが、村上春樹にとても近く感じた。だから今作は個人的にはあまり好きになれなかった。
少年が空を飛ばずに大人になろうとしたら村上春樹に行きついたんだなという感想

・でも映像や音楽は過去一すばらしい作品だった!!

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