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喪の挫折

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喪の挫折シリーズ
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#アイヌ

れらすい

私の夫がですね。私の兄とですね。ウイマムに出かけたのですよ。 ええ。ウイマムです。熊と鹿の毛皮と、干した鮭をたくさん持って。 シサㇺのところに。私は夫といっしょに暮らしていましたよ。 兄は同じコタンに暮らしていましたよ。熊や鹿をとって。 熊は山の神さまですよ。鹿はここではたくさんいます。 夕焼が山を照らすと山肌一面を鹿が埋め尽くしていますよ。 兄と夫は何日も帰ってきません。心配しますよ。 夫と兄を待って空を見上げていると、立派な舟が飛んできますよ。 兄と夫とと

とわとわと

パセカムイがいた。コタンコㇿカムイがいた。 ヌプリコㇿカムイがいた。ヌプリパコㇿカムイがいた。 私はわたしの体の中の耳と耳の間に座っていました。 アペフチと語らいました。チセコㇿカムイと語らいました。 シュマト゚ム・チャシュチャシュ・トワトワト ニト゚ム・チャシュチャシュ・トワトワト とヌサコㇿカムイが歌っていました。 ああ、ピㇼカチカッポ。愛しいあの人へさよならの口づけ。 オノンノ! オノンノ! レプンカムイよ、イランカラㇷ゚テ。 思い出に、金の雫、降る降