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水と油になる前に
さいきん週末は、料理をします。
自分にはできないと思っていたことが、簡単に覆されて驚いています。
まだまだ自分はジブンを知らないな。
水気を切ったレタスときゅうりとトマトとハムをボールに入れて、塩と黒胡椒に、オリーブオイルをかけました。カリカリのパンや5Pチーズもちぎって入れちゃおう。
冷蔵庫を開けて、ドレッシングをシャカシャカと振ってかけました。
小さいころ、川はひとつの遊び場であり、勉強の場でした。石の下に生きものが隠れていることを知ったし、苔が滑ることを知ったし、水面が光に反射してきれいなことも知りました。
4月になると、河川清掃があります。
「アパートの人は、基本的には出なくてもいいよ。大丈夫」
5年前、いまのアパートに入居するときに、大家さんから言われました。
パパ、掃除しなくていいんだって。そう、くいーんにーなちゃんに言うと、それはおかしいって顔をしました。だよねー。学校ではみんなするのにね。
他のアパートの方たちには申し訳ないですが、むずむずした気持ちを抑えられず、スコップを持ち、川へと入りました。
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掃除が終わり、顔を上げた先に見えたたんぽぽは、風に揺られてな清々しくキラキラしていました。
「はい、スコップ洗うよー」
おとなりさんの塀に、みんなの使い終わったスコップを並べて、近所のおじさんが庭からホースを伸ばして水をかけました。
もじもじしていたぼくを見て、一緒にどうぞーと、声をかけてくれる人。人数に含まれないぼくの分のコーヒーをポケットマネーで出してくれる人。
魚と同じように、きれいなところには、きれいな人間が住むと信じています。町を流れる川は、町の血液だと思っています。全ての場所にたどり着くように…ドロドロにならないように…年一回くらい掃除するのは屁でもないです。
ぷすっ、ぷすっ。
盛り付けたサラダにかけるマヨネーズがなくなり、自然と自分の足が近所の家に向かっていることに気づきました。
「みっちゃーん、マヨネーズちょうだいー」
「のしを付けて返しておくれよ」
投げキッスを置き土産に立ち去りました(笑)前のアパートから数えて、引っ越して10年、じっとしていたら、側溝に溜まったドロのように、分離します。沈殿します。
自分から混ざり合うようにしています。
「アパートの方ですよね?」
こんな声かけがなくなったこともフフっと笑える出来事です。
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