傍にいる理由 -男と女の睦言ー
男と女の睦言
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男と女の一問一答
女の問い掛けに答える男
二人の何気ない掛け合いを通して
綴られれる
小さな物語
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きっと、
何か悲しいことがあったのかも知れない。
女はソファーに深く腰掛けて、
溜息を吐いた。
うつむく女の頬に薄っすらと、
涙の跡が見える。
男はキッチンの換気扇の下で煙草を咥えながら、
静かに女を見つめていた。
女は男に尋ねた。
「あなたは何故
わたしの傍にいてくれるの」
男は、
「
ずっと昔、
生まれるずっとずっと前に、
誰かに言われたんだ。
いつか、
君が悲しいとき、寂しいとき、哀しいとき、
苦しいとき、泣きたくなったとき、
誰かに傍にいて欲しいとき、
そんなときには、
他の誰かじゃなく、
必ずあなたが傍にいてあげなさい。
そう言われたんだ。
ずっと昔に、
生まれるずっとずっと前に、
誰かにそう言われたんだ。
だから、だよ。
」
そう答えた。
女は男を見つめ、
頬に伝う涙を拭いながら言った。
「それ以外のときでも、
ずっと、
傍にいてよ」
男は笑ってうなずき、
ふーっと煙草の煙を吐き出した。
「一場面小説」という日常の中の一コマを切り取った1分程度で読めるような短い物語を書いています。稚拙な文章や表現でお恥ずかしい限りではありますが、自分なりのジャンルとして綴り続けていきたいと思います。宜しくお願いします。