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SUILIN固形石鹸完成までの8ヶ月


梅の便りも聞かれる今日この頃、
OURIが手がけるスキンケアブランドSUILINより
2025年2月25日 固形石鹸SUILIN をローンチします。


思えば2022年。
まだ20代半ばの私が「人生でやり残したこと」を考えたところから、この事業は始まりました。
一歩踏み出した先で見えた景色は、男性の美容需要が高まる中に溢れる、「美容に興味があっても手を出しづらい」「どこから始めていいかわからない」という声。

サロンに来なくても、美容に触れられる場所が世の中にあってほしいと思ったことが、製品開発へ一歩踏み出すきっかけでした。


| 美容って誰のためのもの?

アイリストの世界で感じた「男性が美容に触れることができない風潮」。
一度は業界を離れたものの、そこからwebスキルスクールに入り、自分の人生を振り返った時に「自分の父にアイブロウができなかったこと」をやり残していることに気づきました。

私は、男性も、女性も、性別関係なく美容に触れる世の中が見たい。
だからこそ、まずは日本の男性が安心できる環境と、美容師免許を持つものしか提供ができない「アイブロウ」を選びました。


| メンズ眉サロンを運営して感じたこと

2022年にサービス提供を開始し、約2年が経ったころお客様から「“男性”が美容に興味を持つことは恥ずかしい」という声が多いことに気がつきました。
アイブロウを受けるためには、保健所に認められた場所(=美容サロン)に足を運ばなければなりません。男性の中には、そういう場所(美容サロン)に入店すること自体にハードルを感じる方も多く、「MEN'S SUILINは美容室に併設されているから行きやすい」といった声もあるものの、それでもなかなか勇気が出ない方が多い方が多いことも、約2年のサロンワークの中で知りました。

ただ、それでも男性の美容に対する悩みは尽きません。


「眉の整え方がわからない」「男性が美容をやることは、周りの目が気になる」
そんなお客様をみて、何か別のアプローチはないかを考えました。


| なぜ固形石鹸なのか

事業立ち上げ時に書いた事業計画書でも、2〜3年目で製品開発を予定していました。
当初はメンズ用フェイスパックの開発を予定していましたが、一緒にOURIを運営していた仲間からの提案からリスクヘッジの観点で打診があり、製品自体を再検討することに。

「男性が美容をやることは、周りの目が気になる」という視点を原点に置き換え、何ができるのかを考え直していきました。


固形石鹸を選んだ軸1 : そもそも美容とはなんなのか

公衆財団法人 管理美容師の資格認定時に受けた教えによると、美容のルーツは西洋医学にあると言われています。当時は現在の理容師が外科医として主に怪我の処置をしていたことが始まりで「自分の健康は自分で守る」ことの重要性を強調する上で、それでも『自分ひとりでできることは限られているし、自分の力ではどうにもならないことがあり、それらが健康に悪影響を及ぼすことが少なくない』という現状が浮き彫りに。
これらを踏まえた上で社会が対策を講じていくようになったようです。
健康を保つためには、「肉体的」「精神的」「社会的」に対策していく必要があり、そのために「一次予防」「二次予防」「三次予防」や公衆衛生・生活衛生など、耳馴染みのある取り組みに発展しているそう。

要は健康を保つために美容の観点が発達したとのこと。

事実、私の経験上からもそのように感じてきたことが何度もありました。
一番大きなエピソードは、アイリストとして施術を終えた後、鏡で仕上がり確認をした時。鏡に映る自分を見て、お客様が一瞬にしてキラキラした目と輝きを放つ瞬間を何度も見てきました。
「ありがとうございます」
キラキラした目でそう言われた時、お客様が精神的な回復をしたことを実感する瞬間が好きでした。

それ以外にも何度もご指名くださるお客様が「なんか今日元気ないな」と思った日には声をかけてあげたり、体調が優れない方や施術が受けられない状態である方には休んでくださいと声をかけたり。
施術をする上でお肌の状態はとても重要な項目であり、当然内面的な要素も直接お肌に現れます。
外見的な側面も注視しつつ、内面的な部分にも注意を払いながら仕事をするのです。

美容は健康であり、精神的にも支えていける側面がある。
「人間だからこそ美容が必要」だと思っています。

これらを踏まえた上で、着目したことは
普段使っているもののアップデートでした。

美容と言うと、効果で良い成分が入っているものを使わなければいけないとか、何かいつもと違うことをしなければならないとか。
そういった特別なことすること自体が億劫なのであれば、そこを省けばいい。そんな固定概念を省いたアイテムが欲しい。
ここから性別関係なく日常の中で美容やケアに繋がること=バスタイム(お風呂)となり、小さなころから使っていた固形石鹸に着目しました。

MEN'S SUILINで、「何から始めたらいいかわからない」と迷う人が多いこともあり、

特別なことをしなくても、小さなことから自分を美しくすることができる
ここを形にすると決め、固形石鹸を選びました。



固形石鹸を選んだ軸2 : 性別だけが隔たりなのか

MEN'S SUILINでは、男性の眉の施術をします。
これまで施術してきた男性のお肌は、圧倒的に「脂性肌」「乾燥肌」が多く、うち「乾燥肌」の方は「アトピー肌」であることも多かった。

正反対の位置にある肌質に思えますが、両者が共通して悩んでいることが、何を使っても「荒れてしまうこと」「保湿の仕方が結局わからないこと」でした。
そしてアドバイスを求められ、お伝えしても、なかなか一歩踏み出すことができない。
ここから、それぞれの肌質によってアプローチ方法は異なると思いつつも、「どんな人が使っても荒れなくて・保湿力がある固形石鹸を目指そう」と決めました。
そんな夢のようなものがあるとは思えませんが、やってみなければわからないので。

製品を開発するにあたり、お客様がいつから「荒れてしまう」ことを認識して、どんなアプローチをとってきたかも調査しました。
日本皮膚科学会ではお肌荒れやすい時期として「思春期」と指しており、実際に個人的に調査を行ったところ、やはり高校生あたりが多い結果に。
思春期のお肌はホルモン分泌が関係して揺らぐので、荒れてしまうことはもはや避けては通れないことなのかもしれません
そのあと、OURIが実施したアンケートでは、調査対象の30%がお肌が初めて荒れ始めてから自分に合った解決方がわからず、(現在まで)何年も悩みを抱えていることがわかりました。

「どんな人が使っても」を実現するためには、性別だけではなく年齢にも対応していく必要があり、ポイントを「荒れない」「保湿力があること」に絞りました。

性別関係なく使っていて、年を重ねても使い続けている製品が、固形石鹸でした。


| 開発へのこだわり

そもそも製品によって合う合わないは何で決まるのでしょうか。
今回は特に「ニキビができること=荒れる」に注力を注いでいくために、まずは世の中の固形石鹸を使ってみることに。

私は敏感肌で、製品を変えると荒れやすい傾向にあります。そして顔も全身も、これまで一つの固形石鹸しか使ってきませんでした(全身も固形石鹸を使っていた)。
ピンからキリまで様々なものがありましたが、結論からいうと「グリセリン配合率が高いもの(成分表示上位3つ目にきているもの)」が顔・全身にニキビや肌荒れが起きました。

ある化粧品メーカーの研究にて、『グリセリンにはニキビの原因菌「アクネ菌」の餌となる性質(資化性)があることが示唆された』ことがありました。
グリセリンは元々人の肌に存在している保湿成分。
肌がつくる皮脂の油脂分が皮膚の常在菌で分解されると、グリセリンが1つと、脂肪酸が3つになります。肌表面に残って保湿の役割をしますが、ニキビが増える原因の「アクネ菌」は、皮脂を分解する皮膚常在菌であることから、グリセリンを餌として活発化してもおかしくはないそうです。

最近ではグリセリンフリーの商品が増えていることもあり、グリセリン配合率を低くした製品を作ることで、思春期の「荒れる肌」へのアプローチを目指しました。

とはいえ簡単にうまくいくはずもなく…
グリセリンはもともと保湿成分です。ほとんどの化粧品にグリセリンが保湿成分を目的として使用されています。
製品開発の途中、保湿力が著しく落ちたり、私自身もお肌が荒れてしまうことを何度も繰り返しました。

また、この時期にOURIに参画してくださっていた薬機法関連に強い仲間の旅立ちも重なり、まさに色々なことが停滞状況に。
OEMとも相談をしつつ、Xでお声がけくださった美容成分のプロに相談しながら調整し、やっと形になったころには当初予定していた制作期間3ヶ月を大幅に超えた6ヶ月目に差し掛かっていました。

ここまでこだわって、ひとまず納得のいく状態になったからには、試験に出して固形石鹸の効果効果を謳える状態へと進みたかったが、これまでの改良にかかった費用は予算を超えており断念することに。

そんな状況の中でもできることは、実際に使ってみて「荒れなかった」「保湿力がある」という生の声を集めること。
成分的な根拠は出せないけど、困っている人はたくさんいる。
だからこそ、モニターの声に徹底的に向き合うことに決めました。

モニターは自分と同世代の様々な(アトピー肌を含めた)肌質の男女赤ちゃんからママ・パパ、さらにおじいちゃんおばあちゃんにまで使用していただきました。
(私のわがままで、たくさん付き合ってくれたみんな本当にありがとう、、っ)

モニター期間を経て、さらに改良を重ね、全てのモニター様より「荒れない」のお声をいただき、「保湿力がある」との声も8割を超えたため、制作期間8ヶ月目に完成を迎えました。


ちなみに当初は無香料石鹸として開発を進めておりましたが、「香り」は空間を色付けていくことから、制作期間ギリギリでオリジナル調香して香り付けを行いました。

SUILIN固形石鹸の香りは「グレープティー

香りは五感の中の嗅覚にアプローチ、大脳辺縁系という脳の一部に唯一直接届くものなんです。
つまり記憶に残るもの。

性別・年齢を超えて使える製品への、ちょっとしたイタズラ……っ!


美容業界の壁と挑戦

美容は、健康と深く関わりあっています。
絡みあっていると言ってもいいかもしれません。
髪を切ることでさえ、国家資格や保健所登録された美容所でなければいけないように、化粧品業界を取り巻く規約はとても複雑で厳しいものでした。

ここまでOEM会社や開発工場など、協力会社と何度も改良を重ね、こだわって制作した固形石鹸です。実現できたことは証明していきたい

だけど当然そこには法が関わっていて、わかりやすいところでいうと「低刺激」や「〜肌にも使える」などの表記ができるまでには叶いませんでした。

それでも、悩みを打ち明けてくれたお客様をはじめ、今も誰にも相談できずに悩んでいる方、もしかしたらその悩みを諦めてしまっている方が世の中にはきっといる。そして増え続ける。
そんな方へ、SUILIN固形石鹸を届けたい。

謳える確かな効果がない。
だからこそ、プロジェクトへの想いや原体験から支援を募ることができる、クラウドファンディングを出発点にしようと決めました。

最高の未完成を、誇っていきたい。


| これからの挑戦とメッセージ

自分の人生を振り返り、父親への想いから始まった美容事業のサービスが、気づいたら製品開発をして、多くの方から支援を募るスタートまで来ていました。

一歩踏み出すと見える景色がどんどん変わっていく中で、
2025年2月25日 OURIから、スキンケアラインSUILINをローンチします


SUILINのコピーは、

性別や年齢の固定概念を超えて、一生寄り添うスキンケア

製品を使ったみなさまが、自分と他者、あるいは今と過去・未来を、製品を通じて線で繋がっていけますように。そんな願いを込めたスキンケアライン。

最初の製品であるSUILIN固形石鹸のコピーは、

生まれてから一生を終えるまで、
肌揺らぎが始まっても使い続けられる石鹸


点の準備はできました。
想いやビジョンに共感・あるいは応援してくださった方と、SUILINの未来を製品を通して一緒に線を実現していきたい。


ご支援のほどよろしくお願いいたします。

クラウドファンディングページはこちら↓

https://camp-fire.jp/projects/809659/view?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show

プレスリリース記事はこちら


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