フィリピンのソフトウェア開発における英語でのコミュニケーションについて
はじめまして、私はかれこれ5年くらいフィリピンでソフトウェア開発をしています。
ソフトウェアのオフショア開発は一般的になってきていますが、フィリピンもオフショア開発が盛んな国のひとつです。
特徴として
1)IT技術者の数が多い
2)英語でコミュニケーションできる
というのがありまして、いまホットな英語とITが一緒にできちゃうとってもお得な国なんです。
そんなフィリピンでソフトウェア開発をするときに英語のどんなスキルが必要なのか、少しお話したいと思います。これは私個人の経験則によるものになりますので、あくまで一例として読んでいただけたらと思います。
・文法
多くの人は中学、高校、大学で英文法の勉強をしてきたと思います。学校の英語学習は実践では役に立たないみたいなこともよく言われていますが、ご他聞に漏れず私も大学を出ても英会話はまったくできませんでした。
でもいま思うと英文法ってすごく大事だなってしみじみと思います。だって言葉は文法で成り立っているんですから。
ソフトウェア開発では仕様なり設計なりを開発者に伝えないといけませんが、伝え方を間違えるとへんてこりんなものができてしまうことが往々にしてあります。日本人にとってもフィリピン人にとっても英語は母語ではありませんので※1、お互いの母語のニュアンスが英語でのコミュニケーションにも出がちになり、それが誤解を招く一因になることもあります。
一方で英語は歴史的にたくさんの人たちに使われてきたということもあり、誤解ないようになるべく省略しないことが一般的です※2。
構文や時制、助動詞、関係代名詞など、みなさんも聞き覚えのある用語かと思いますが、これらをうまく使うことで微妙なニュアンスだったり、詳細に伝えたりすることができるようになりますので、ぜひ復習も兼ねて勉強しましょう。
・語彙
ボキャブラリーのことですね。単語を知らないと会話が成り立ちませんので、最初は基本的な語彙をできるだけ詰め込みましょう。
あとは口頭でのコミュニケーション、読み書きによるコミュニケーションを問わず、業務の中で必要に応じて単語を調べるという習慣をつけていれば自然と語彙は増えてくのではないかと思います。
そういう感じで続けていると業務で使う語彙は増えるけど、それ以外の語彙は全然増えないみたいな悩みも出てきたりもしますが、英語は我々にとってはどこまで行っても母語ではありませんので、ネイティブ並みにならなくても大丈夫という割り切りも必要です※3。
もちろん語彙が多ければ多いほど表現力が増しますのでデメリットにはならないのですが、とはいえソフトウェア開発で必要な語彙は日常会話とは異なりますので、語学ばかりがんばり続けるよりは本業の技術の向上のために時間を使う方がよほど生産的かなと思います。
※1 誤解のないように補足しますと、フィリピンの公用語はタガログ語と英語で、学校教育でも両方の言語が使われますが、日常会話においてはマニラでは一般的にタガログ語が使われます。ただタガログ語の会話の中で英語が出てくる頻度は日本語とは比較にならないくらい多く、英語のセンテンスとタガログ語のセンテンスが入り混じることも割とよくあります。
※2 英語でも場合によっては省略することもありますが、ビジネス上のやり取りにおいては正確に伝えることが重要視されるように思います。
※3 ある程度英会話ができるようになるとYoutubeにあるような英語の動画も比較的楽に聞き取れるようになりますので(最近は字幕も自動生成されますね)、趣味の領域をとっかかりに英語学習をするのもいいと思います。
だいぶ長くなってしまいましたので、次回以降は読み書きや会話などについても書いていこうと思います。