フィリピンのソフトウェア開発における英語でのコミュニケーションについて2
前回に引き続きフィリピンのソフトウェア開発で、どのような英語のスキルが必要かについてお話したいと思います。
一般的にオフショア開発会社の日本人エンジニアの役割としては以下のようなものがありまして、今回はその中の1から4までをご説明したいと思います。
1)クライアントとのやり取り
2)技術調査
3)ドキュメントの作成
4)開発タスクの作成
5)開発タスクをメンバーへ依頼
6)質問対応
7)メンバーの作業進捗の確認
8)成果物の確認
1)クライアントとのやり取り
どの国のクライアントを相手にプロジェクトを進めるかにもよりますが、一般的に日系のオフショア開発会社の場合はクライアントはほぼ100%日本企業になると思います。基本的には日本語でやり取りを行いますので、ここで英語を使うことはあまりないと思います。
2)技術調査
仕様を実現するためには幾つかの技術調査が必要になる場合があります。少し特殊だったり難しい機能だったりする場合は、以下のようなオンラインのドキュメントや技術系のQ&Aサイトで使い方を事前に確認しておき、開発者に伝えることもあります。
1)プログラミング言語のドキュメント
2)Webアプリケーションフレームワークのドキュメント
3)オープンソースライブラリのドキュメント
4)Q&Aサイト
利用するプログラミング言語にもよりますが、1と2と4については日本語も提供されていることが多いですが、3についてはほぼ英語になると思います。
ちなみにオープンソースのライブラリはGithubというサービスで探すことが多くなると思います。
3)ドキュメントの作成
いわゆる設計書というものを作成します。設計書にはいろいろな種類があり、開発する機能の大きさや難易度、メンバーの熟練度に応じて適宜使い分けます。
ドキュメントには大まかに納品が必要なものと不要なものに分けることができまして、
納品が必要なもの:日本語と英語の両方
納品が不要なもの:英語のみ
というような感じでどの言語で書くかが決まってきますが、ここで大事なのは英語は常に必要ということです。仕様を開発者に正しく詳細に伝えるというのが設計書の主な役割になりますので、基本的には上流工程で作成した日本語のドキュメントもすべて英語に翻訳されます。
文章という体裁で記述されるようなドキュメントもそれなりにありますが、ただすべてがそのような形というわけではなく、図を描くようなものもあったりします。図を描くものの代表的な例としては業務フロー図やワイヤーフレーム、画面遷移図、ER図、UMLなどがあります。
またこれは日本語・英語を問わず言えることなのですが、ドキュメントで使われる用語やメッセージは意味が誤解なく伝わるようなものが望ましいですので、言葉のセンスが求められる部分でもあります。
4)開発タスクの作成
ドキュメントができたらそれをタスクにします。ソフトウェア開発ではなるべくタスクを細分化して管理しやすいようにし、タスクごとにチケットを英語で記述していきます。十分なドキュメントがあればチケットに書くことはあまりないのですが、ドキュメントを書く必要がないほどの簡単な機能や障害対応の場合はチケットに直接書くことも多いと思います。
チケットの管理には様々なサービスがありますが、私たちのところではBacklogを使っています。
また個々のタスクの進捗が簡単に追えるようにカンバン方式を採用する場合もあります。カンバンのサービスも各種ありまして、私たちのところではTrelloを利用しています。
ここまでは読み書きのスキルが大事そうな感じですね。
次回は5から8までをご説明しますが、ここでは聞いたり話したりするスキルについてもお話しようと思いますのでお楽しみに。