中小企業で働く魅力と注意点③ トップとの距離が近い
「ウチはトップと従業員との距離が近くて、風通しの良い社風ですよ」
私が転職エージェントとして中小企業の採用担当者や、配属部門の責任者に取材をした時、よくこれに相当する言葉を聞いてきました。
中小企業への転職を希望する求職者の一定割合の人も、トップとの距離の近さ、風通しの良さを求めていたりします。
私自身、人材業界に20年以上携わる中で大手企業だけでなく、小所帯のベンチャーや中小企業(現在はココで働いています)で仕事をさせていただく中で、
▶ 社長がかなり身近だ
▶ 役員なのに、普通に会話をさせてもらっている
▶ 前の会社じゃ、全社会議の時しか社長は見なかった
というのを日々日々感じています。
それなりに規模の大きな会社になると、トップと会話することはおろか、一言挨拶をすることも難しくなります。
トップとの距離が近いのは、中小企業や草創期のベンチャー企業などの魅力と言えるでしょう。
一方、良いことばかりではなく留意すべき点もあります。
この記事では、中小企業での「トップとの距離の近さ」に関して具体的に良い点、注意すべき点について解説をさせていただきます。
これからの職業選択や、中小企業での働き方について考える上で、一つの参考になれば何よりです。
※なお、中小といえども全ての会社でこの記事の内容があてはまるという事ではありません。よくある傾向としてとらえて頂ければ幸いです。
① トップは優れたビジネスパーソン
1-1 優れた人から多く学べる環境にある
トップはいわゆる「経営者」。少し広く見れば「経営陣」「役員チーム」。
一般的なビジネスパーソンとして見た場合、「経営者」「役員」は優れた能力、資質を備えたビジネスパーソンです。備えているからこそ、経営を執ることができたりします。
創業者であれば、リスクを掛けて独立起業をされます。
普段仕事をする時、優れた人であるほど学べることが多く、仕事の基準、意識も高くなります。
純粋に、トップと距離が近ければ、それだけトップと話す、教えられる、学ぶ機会が多くなり、大きな成長が期待できるでしょう。
1-2 経営的な視点で仕事ができる
トップは常に会社の経営責任を背負う身であり、考え方も経営的な視点となります。
一般社員が、自分が担当している業務範囲での最適化(部分最適化)や、時に個人的な感情で考えることがある中、やはり経営者はモノを見る視点が全く違います。
そもそも、トップの考え方に直接触れる機会はなかなか取れないため、貴重ない経験になるでしょう。
1-3 意思決定が早い
会社の方針、事業の進め方などで変革を迫られたり、大きな転換をしなくてはいけない状況となった場合、大きな組織の会社と比べて意思決定が早くなります。
組織が小さい分、現場で起こっている問題や意見がトップに上がるまでに経る役職者が少なく、トップの耳に届きやすくなるからです。
ワンフロアの事務所でトップがすぐ近くにいるような会社であれば、嫌でも耳に入ります。
組織における意思決定の遅さは、トップの決断力の以前に、そもそも情報が届くようになっているかが大きなポイントとなります。
② 注意点
これまで挙げたトップとの距離の近さからくる良い効果は、当然ながらトップがどういう人かによって、その恩恵が受けられるか否かが変わってきます。
2-1 トップ=優れた人とは限らない
経営をしている人間だからと言って、その人が必ず優れているという保証はありません。
例えば、現時点でその会社の経営はきちんとしていたとしても、その社長の実力ではなく、優れた二番手三番手に依るものであったり、先代社長が培ってきたものを食い潰さずに済んでいる、という場合もあります。
その時点での会社経営の状態だけでなく、そのトップがどのような考え方で、どのようなことを経営者としてしてきたかを注視する必要があります。
そこの見極めを誤ると、優れた考え方も、きちんとした経営的な視点も、学ぶことは難しくなります。
2-2 トップ=話を聴く人であるとは限らない
意思決定の早さは、前提としてトップが現場からの情報を積極的に吸い上げる人であり、耳の痛い情報ほど耳を傾けて聴く人である、という事があります。
経営者の中には、ワンマン経営をしていて部下や現場の話に耳を傾けず、耳の痛い事を進言する人間を遠ざけたりする人もいます。
そうなると、トップの周りにはイエスマンしか残らなくなったり、現場からトップに意見を上げていこうという雰囲気も無くなります。
トップが話を聴く姿勢があり、意見が上がってくる雰囲気ができていなければ、問題解決のための意思決定自体されることはないでしょう。
2-3 優れていても、価値観が合うとは限らない
トップも一人の人間。優れた人で健全な会社経営をしている人であったとしても、全ての人がそのトップの価値観に合うという事はないでしょう。
優れている=自分に合う人であるとは限らない、という視点で会社を選ぶ必要があります。
③ まとめ
トップとの距離が近い事の恩恵は、最終的にはそのトップがどのような人であるか、に依存するところが大きくなります。
転職活動においては、最終面接になると社長が出てくるケースが多くなります(一部の会社は、ナンバー2クラスの人に任せているケースもある)。
面接の場は、相手と直接話をし、価値観や考え方を知る貴重な機会。
単に合格するための面接対策ではなく、会社としての考え方、トップの考え方、価値観を知るために事前によく企業研究をし、どういう質問をして相手の考え方を深堀し理解を深めていくか?
求職者の方から、相手を知るための事前準備と面接での実践が大切です。
最後までお読みいただきまして有難うございました。
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