フィリピン滞在記7
今日、シャワーを借りた宿で、スイス人に会った
物憂げで、やたら日本語がうまかった
夕食の席で一緒になったが、彼はほとんど喋らなかった
シャワーを浴びた後、他の日本人に、私がリハビリの仕事をしていたことを告げると、それまで輪に入ってなかったスイス人の彼が「ちゃんと資格を持っているのか?」やたら食いついてきた
持っていると私は告げた
彼と2人になった時、彼がおもむろに話しかけてきた
彼は日本語に魅せられ、日本語を学びに日本に留学しにきていたらしい
その時に東日本大震災にあった
彼は東京にいたが、日本の異様な雰囲気にやられ、うつ病に陥ったらしい
その後スイスに戻ってなんとか大学を卒業したが、全身のだるさ、悲観、生きる意味の無意味さを抱えて動けなくなったという
日本には倫理がない
その場を立てるために平気で嘘をつく
そういった雰囲気が無理だったという
スイスにはうつ病というのはあまり馴染みがないらしく、彼は誰とも気持ちを共有できたことがないと言っていた
僕が、日本は百万人もうつ病者がいて、語り合う団体もたくさんあると教えると心底驚いていた
うつ病が百万人なんて狂っている、と言っていた
僕も日本は狂っていると思うと伝えた
何が原因なんだい?と彼が聞いてきた
教育と文化と答えた
日本人は常にサクリファイスを必要としている民族なのだと説明すると、彼は納得していた
自分もそれを無意識に感じたと言っていた
彼はスイス人なのでドイツ語を喋れるし、日本語検定1級、TOEICも900超えているらしい
日本には倫理がない、と戦争中の記録なども説明しながら伝えた
彼は、あなたもヨーロッパに来たほうがいいんじゃない?と言ってきた
そうかもしれない
一体いつ治るかわからない、それが一番辛いのだ、と彼は言っていた
それは一生付き合って行くしかないのですよ、という言葉を僕は飲み込んだ
マイペースでいい、好きなことをやろう、とだけ僕は言った
彼が今日、ゆっくり眠れることを祈って
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