
好きな装丁画家Top3
好きな装丁画家を装画と共に挙げていく。
読み飛ばしてOKな前書き
本当は好きな装画Top10にしたかったんだけど、それをやると同一シリーズでランキングが全部埋まってしまうので、装丁画家というまとめ方にした。
また、本編が好きかどうかは無視して選ぼうとしたんだけど、好きな本は装丁も含めて好きになってしまうものなので、結果としてお気に入りの本ばかりが揃ってしまった。
まあこれはこれでいいんじゃないかなと思う。本編を表現するというのが装丁の大きな役割であって、ならそれに対する評価は本編と結びついているべきだ。ということにしておく。
気まぐれで文章を付けたり付けなかったりしたけど、その分量は僕がその絵の好きなところをどの程度言語化できているかによって増減する。別に文字数の多い絵の方が好きというわけではない。
それではぜひ見ていってください。
影山徹
・老人と海 アーネストヘミングウェイ
構図が完璧すぎる。カジキと老人を同時に描く上でこれ以上の回答ってある?
カジキは力強く中央に配置されていて、海中から見上げた舟は異化効果を生んでいる。
老人はかなり小さく描かれているけど、集中線の働きをする海面から差し込む光、魚群の流れ、白い雲と影になった舟とのコントラストなんかでカジキから自然に視線が向かうようになっている。
色味はシンプルで、本編のシンプルなストーリーや文体によく合ってる。
あと揺らぐ海面の表現がなんか好き。
・旅のラゴス 筒井康隆
牧歌的な風景の中、唐突に浮かぶ地球儀の奇妙さはルネマグリットみたいだ。
この牧歌的な雰囲気とそこに混ざり込んだ異物感は、中世的な生活の中に超能力が混ざり込んだ本編の雰囲気を忠実に再現している。
地球儀というオブジェクトもなかなかに示唆的だ、大地が球体であるという認識はこの星が唯一の世界ではないという世界観にたどり着くための第一歩だ。
そしてそんな世界をスカシウマと共に旅して回るラゴス。この表紙を見れば本編は大体読んだようなものだ。(嘘だ)
・メガロマニア 恩田陸
人はもう居なくて、ただ文明の残滓だけがある。本編もそんな感じの紀行文?だった。
中南米の遺跡をめぐった紀行文なんだけど、各所に配置されたプロローグによって、紀行文という「あったことと」の裏で「あったかもしれないこと」が並走を始める。
本編の感想になってしまったので表紙に話を戻す。
魚眼レンズで空を見上げるこの視点は、外からこの遺跡を観察する視点ではなく、遺跡の中からの視点、かつてここで暮らしていた誰かの視点だ。
もう人一人いない遺跡が夕日に照らされている様子を見ると、寂しいような変な感じがする。
(ところで奥の方に見える遺跡は空島の黄金都市シャンドラみたいだね)
佐竹美保
・クレストマンシーシリーズ ダイアナウィンジョーンズ
・ダークホルムシリーズ ダイアナウィンジョーンズ
ダイアナウィンジョーンズやラルフイーザウの諸々の本に加えてリン谷のローワン、魔使いの弟子、フェリックスと異界の伝説。
図書館に行ってファンタジーの棚から適当に本を手に取ると、大抵の場合この人の装画が描いてある、といっても過言じゃない。さっき調べたらハリーポッターの新装版の装画も担当していた。
その中でもダイアナウィンジョーンズの本を選んだ理由は、ダイアナウィンジョーンズが大好きだからだ。本が好きすぎて装画も好きになったパターンだ。
賑やかな絵はダイアナウィンジョーンズのてんやわんやの魔法世界にぴったりだと思う。
大庭賢哉
・ティーン・パワーシリーズ エミリーロッダ
好き過ぎる。正直この記事は大庭賢哉が好きだということを表明するために書いたようなものだ。
なんと言ってもこのかわいい絵柄!
生理的な良さなのでどこがどう好きなのかを説明するのは難しいんだけど、強いて言うならほっぺのラインとか目の描き方とか、柔らかくてシンプルな線とかが好き。
大庭賢哉先生が描いた漫画の短編集が3冊あって、どれもめちゃめちゃ良いんだけど、それらについてはまたいつか書くつもりだ。
おまけ
大好きな小説の1つに「厭世マニュアル」がある。
人前でマスクを外せない「口さけ」という女が主人公なんだけど、装丁において、そんな彼女のマスクを帯で表現しているのが面白い。

しかし厄介な仕掛けだなとも思う。帯をどこかにやってしまったらただ女の子がこちらをみてるだけだものな。
僕が持っているのは文庫本で、こちらでは浅野いにおが普通にマスクの女の子を描いてる。
これはこれで良い。