イラストレーターになりたい

「イラストレーターになりたいからA高校の美術科を受けたい」
と言った生徒がいました。
成績は良かったのでいわゆる偏差値的にはもっと上を狙うこともでき、大学から美大という方法もあるよと言いましたが
本人が強くA高校への進学を希望していたため、塾で行った三者面談では「A高校受験」という方針で進めましょうということになりました。

後日その生徒が泣きながらやってきました。
なんでも学校の三者面談で先生から「イラストレーターなんて食べていけないからやめろ」と言われたそうです。
その先生は美術の先生なの?と聞いたら「違う」ということだったので
首を傾げてしまいました。

その先生はイラストレーターで食べていけない方法は知っていても、イラストレーターとして食べていく方法は知らないのでしょう。
であれば、イラストレーターで食べている人に相談したほうが良いにきまっています。

そこで友人のイラストレーターを紹介し話をさせました。
またA高校に直接電話をし、高校卒業後にどんな進路をとっていけばよいか、またどんな実績があるのか等相談させました。
生徒はようやく自分の選択に確信を持てたようでA高校を受験し、そして無事合格できました。
彼女は今高校2年生で、来年美大を受験する為の準備をしています。

その先生を批判するつもりはありません。
彼の価値観としてはそうであっただけで、良かれと思ってああおっしゃったのでしょう。

私は子供と大人の一番の違いは「自由と責任」だと思います。

子供は色々な面で不自由です。生まれてからすぐに親の目の下で自由が制限されます。
危ない物を触ろうとすれば取り上げられ、危ない場所には近づくことさえ許されません。
ですからそこに責任が伴うことはありませんし、仮に何か問題を起こしたとしてもその責任を取るのはあくまで親です。
不自由というと聞こえは悪いですが、こうやって親の保護に守られながら段々と世の中のことを学んでいきます。

そして小学生、中学生、高校生と成長していく過程で一つずつ自由と責任の枠が広がっていき、やがて大人になります。
大人になったときに全てが自由となり、そしてそこには自己責任が伴います。

進路選択も職業選択も、その大切なワンステップです。
ですから例え大人として意見があったとしても、最終的には本人に考えさえ選択させるべきだと思います。
受験や進路の話はとても苦しいですが、大人へのステップという喜ばしいものとして向き合っていきたいと思います。

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