欲望が本質のホモ・サピエンスが綺麗事で生きるな
TTと夕食を採りながら”虚栄心”の話をした。
わたしは何も無い人や。
でも、わたしは何もしなくてもできる人や。
だから何もしなくても幸せや。
虚栄心とは必ずしも悪い概念ではなくて、その根源が欲望であるとするならば、欲望があるからこそそれを叶えようとするために人は努力をして、結果として社会はより良くなっていく、ということもある。というのが彼女の意見。
サピエンス全史では、ネアンデルタール人やホモ・◯◯◯◯という別の人類候補に対して、知力や体力でも劣る我々の祖先=ホモ・サピエンスが最終的に彼らを滅ぼして支配的な立場についたのは、”認知革命”によるものだと書く。
"認知革命”とは、簡単に言うと、”人の噂をする能力”、もっと簡単に言うとホモ・サピエンスだけが”わたし”と”あなた”という人称の他に、”彼”、”彼女”、”彼・彼女たち”、などの三人称を使うようになったということ。”あっちにいけば面白いものがあるぞ”とか、”あいつらを倒せば、彼らみたいに裕福になれるぞ”という欲望を刺激する要素だったり、”あいつらは強そうに見えて実は◯◯というような弱点があるらしいぞ”という会話を、”わたし”と”あなた”の間ですることができる。そして、それは拡散していく。
ネアンデルタール人は”わたし”と”あなた”の世界しかないので、それ以外の世界について共通の話題はない。結果として、ホモ・サピエンスは時には”嘘”ともなり得る噂話をすることによって、共通の欲望に向かって行動することができた。結果として組織・集団化したホモ・サピエンスは他の種族を滅ぼして支配的な地位を手に入れたという訳だ。
ホモ・サピエンス、すなわち我々人類というものは、元来、複数の人が共通に持ち得る欲望を動機として1万年という長い間、地球に君臨してきたということだ。わたしもあなたもその恩恵を受けている。なぜなら欲望を動機として生きながらえたホモ・サピエンスの子孫だからだ。
我々は欲望に突き動かされて生きている。これはDNAそのものってこと。
さて、巷では欲望について否定的な意見が多いよね。物欲は良くないことだ。欲望=成長を前提としている資本主義はもう終わった。欲に突き動かされている人間は良い人間ではない、まで言う人もいるかな?ハラスメントについての議論についても、人類の本質である欲望についての客観的な分析がない中で、ポリティカル・コレクト、すなわち誰かにとっての正しさだけが叫ばれる結果として、本質的な部分での共感がないために分断が起こっているのではないかな?
TTが今夜の食事で言っていたのは、「綺麗事を言うな」ということだ。
上記みたいなことを自分の正義として掲げることはそれは否定しない。一方で、人間の本質としての欲望を否定、もしくは無視した形で上っ面の正義を語るなということ。
会社の経営者をやっていると直接的に、間接的に驚くようなことに出くわす。具体的なことは書かないが、簡単に言うと、
・社会的正義、それも世界の平和について活動をしている、もしくはそれが彼・彼女の正義だと言う人が、法律を無視するようなことを言ってくる
こういうケース。
もっと単純化して言えば、左翼的な人が発する言葉に、個人的・身体的、場合によっては対象の家族や友人関係について攻撃が含まれているケースね。自分のことじゃないな、おっさんとかの話だよね?って思うでしょ。全然違うんだよね。僕の経験上では若い人の方が無意識でこれに近いことをやっているケースが多い。本当にビックリする。
自分が虚栄心を持ったり劣等感を持った時に、その原因を外に求めるなっていうこと。もっと言えば、外の世界について変な正義感を振りかざすなということ。自分の虚栄心、欲望にしっかりと向き合って、それを認めて、”栄”にたどり着くための具体的な行動を起こし、努力しろ、ということ。
ここが肝心なんだけど、人に良くしてあげる行動をする。
というのは具体的じゃない。
自分の欠けていると思っていることについて直視する。
人に良くしてあげる行動をすることは良いけど、そこに対して自分の何の能力・才能を使うのか意識する。
そして、その能力・才能が行動の前後で1mmでも伸びたかどうかを確認する。
いずれ実力がついて、虚栄心は小さくなる。
自分の境遇を外の不合理に当てはめなくなる。
結果として、外を受け入れられるようになる。
伝わるかな?
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