若いうちから本を読むことの意義
”越境者”による”越境思考”、今回は「本を読むことと物語の重要性」について。
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本は読んでおいた方が良い。
それが例えどんな本であろうとも。
しかも、若い内から。
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こうして「べき論」を書くと、若い子たちはすぐに敬遠するだろう。そして、本を読むのは「ガリ勉」がやることでカッコ悪いとか、今は本の内容について10分程度で分かりやすく解説してくれるYoutubeのコンテンツがあるから本を読む必要性を感じない、と考える人も少なくないだろう。
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それでも、本を読んだ方が良い。
別に紙の本じゃなくても構わないから。
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その理由は下記の通り。
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(1) なぜ本を読む必要があるのか?
(2) Youtubeの解説コンテンツでダメなのはなぜか?
(3) 本であればどんなものでも良いのはなぜか?
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(1) なぜ本を読む必要があるのか?
「物語=人生を想像する力」を手に入れられるからだ。
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本には、結論や結末、言いたいこと、仮説の検証結果以外に、それに至るまでの外部環境や当事者の状況の変化が、出来事と感情(もしくは感情を背景とした主張や判断)とをセットにして描かれている。いわゆる「文脈」と呼ばれるものだが、多くの文脈に触れることは生きていく上でとてつもない力になる。
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人生、思い通りにならないことは多い。思いや願いが「通る」までには、様々な状況についての認識と解釈、それに基づく選択(判断)が必要で、その上で更に「天命を待つ」。結果、「通らない」こともある。いや、むしろその方が多いかもしれない。
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本には、その著者の、著者の思想の結果としての思いや願い、結果、更にはなぜそう思い・願ったのか、どうしてそういう結果になったのか、その結果をどう受け止めたのか、についての文脈が描かれている。その意味で、本を読むという行為は、他人の物語、すなわち人生を体験することと同義なのだ。
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人生の様々な出来事についての解釈や判断を自分だけ行い、受け入れることは厳しいことで、目をそむけたくなる。しかし、あらかじめ他人の人生を何のリスクも背負うことなく追体験することができるとができるとしたらどうだろう?しかも、その中身がワクワクするものであったり、共感するものであった場合には?
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(2) Youtubeの解説コンテンツでダメなのはなぜか?
結論や結末、言いたいこと、仮説の検証結果のみで、それに至るまでの外部環境や当事者の状況の変化が、出来事と感情(もしくは感情を背景とした主張や判断)が描かれていないからだ。
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しつこいが、人生の糧になるのは、他人の結論ではなく、他人が抱えた葛藤や矛盾、その時の感情の方で、結論ではない。他人の結論と全く同じ状況に至ることはできない。どれだけ近づけられるように自分なりの方法で努力したとしても、最後は運になるからだ。
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他人が分かりやすく示す結論だけを消費することから離れた方が良い。
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(3) 本であればどんなものでも良いのはなぜか?
どんなジャンルの本であったとしても、そこには物語性があり、文脈が描かれているからだ。
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純文学やミステリー、経済小説などは言わずもがなだが、数学や自然科学、歴史や伝記、価値観や自己啓発、何らかの解説本であったとしても、その中には物語性が存在する。
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数学の教科書は、仮定と結果しか無いだろうと言う人がいるかもしれない。しかし、読み手はその仮定からどのようにして「その教科書における」結果が導き出されたのかを証明したくなるだろう。「なぜ、この結論に至るのか?」、「この方法であればもっと速く結論に至ることができるのでは?」という思考をすることは、書き手の物語を想像することになり、更には自分の物語を想像することになる。
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文学でも同じで、他人の文脈=物語に想像力をはたらかせ、自分を同一化させたり、客観的に見たりすることは、その時点で自分の文脈を想像することであり、自分の物語を紡ぐことであり、自分の人生を想像するということになる。
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自分の人生における様々な可能性を実験して味わうことができる。
それも、今あなたがいる場所でこの瞬間に。
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