ゴダール追悼
自分がジャン=リュック・ゴダールの映画を見るようになったのは大学に入ってからなのだが、とはいえ80年代末〜90年代のバブル期の日本で、ヌーヴェルヴァーグというパリの50〜60年代の空気があまりにかけ離れたものであり、共感できることは少なかったというのが偽らざる気持ちだ。
そもそもリアルタイムでゴダールを見てロメールを見たからと言って、「ヌーヴェルヴァーグ」を理解できるわけではないはずで、最近になってジャック・リヴェットがリマスターされ、あるいはゴダールも「ワン・プラス・ワン」のようなドキュメンタリー(1968年の作品で、ザ・ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」Sympathy For The Devilのレコーディング風景を撮影した映画)などを見てこそわかることがある。またシャンタル・アケルマンにゴダールの影響が見られることも、ヌーヴェルヴァーグというムーブメントを知る手がかりになるはずだ。
自分がリアルタイムでゴダールの映画を見るようになったのは「愛の世紀 」(Éloge de l'amour , 2001年)からで、少なくともこの「愛の世紀」と次の「アワーミュージック 」(Notre musique 2004年)は控えめに言って傑作だ。
その後は「さらば、愛の言葉よ (Adieu au Langage , 2014年)、それから最後の作品となってしまった「イメージの本 」(The image book , 2018年)と続くわけだが、今となっては、自分が憧れる巨匠もその多くが鬼籍に入り、新作の公開を楽しみに待つ監督は、もはやクリント・イーストウッドくらいしかいなくなってしまった(ゴダールもイーストウッドも同じ1930年生まれなのだ)。
https://youtu.be/dZLdUxJhbWc