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ワン・セカンド 永遠の24フレーム/チャン・イーモウ監督

チャン・イーモウ監督の「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」を見た。「ニュース映像」にわずかに映る娘の姿を求め、強制労働所を抜け出した男(チャン・イー)が、灼熱の砂漠を抜け、辿り着いた村での上映に至るあれこれを描いた話だ。

男は、運搬係のバイクのから大事なフィルムの入った缶を盗む子ども(リウ・ハオツン)に出くわす。フィルムが無ければ映画の上映自体が中止になってしまう。男と孤児リウとの戦いの火蓋は切って落とされる…(ちなみにこれはコメディー映画なのだ)。男は妻に離縁され、娘とは疎遠となっている。一方のリウも親に捨てられ、弟と二人で慎ましく暮らしている。リウがフィルムを盗んだのには訳があったのだ。

年に幾度もない映画の上映会を皆が楽しみにしている。男はリウからフィルムを取り返し、興行主で映画技師のファンに手渡し安堵するも束の間、今度は運搬の際の事故でフィルム全てが土埃まみれになってしまっていた。映画の上映が無ければニュース映像も見られないのだ。劇場の舞台では村人総出のフィルムの救出作業が繰り広げられる。

誰もががちょっとズルくてちょっと優しい。悪人はいないが、時代に翻弄される人々をコミカルに描いた映画である。小さな娯楽に村中の人々が熱狂する。上映される映画は愛国映画であり、まあプロパガンダなのだ。もちろん「ニュース映像」は愛国者の顕彰が目的である。小さな体で大きな荷物を担ぐ娘の姿は、ほんの1秒間の映像だけなのだ。

チャン・イーモウは、「紅いコーリャン」をはじめ数々の映画賞を受賞し「第五世代」を代表する、いや、今では中国を代表する映画監督として、2022の北京冬季オリンピック・パラリンピックで開閉会式の総監督も務めた。

ただどうなのだろうか...。前作の「妻への家路」は、やはり文化大革命で離ればなれになった夫を待ち続ける妻(コン・リー)を描いた作品なのだが、甘い郷愁に溢れたこの映画は、何だが少しもの足りない気がするのだ。国内への引き締めをますます強める巨大な「国家」の、これがひとつのプロパガンダ映画のようにも見えなくもない。

言いたいことは何なんだよ…。そうチャン・イーモウ監督に問いかけたい気がするのは自分だけなのだろうか。「映画愛」とは何なのか。未来への希望とは何なのか。2コマ抜け落ちた、美しい映像故に。

監督:チャン・イーモウ  
出演:チャン・イー | リウ・ハオツン | ファン・ウェイ

妻への家路


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hideonakane
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