男と女、モントーク岬で/フォルカー・シュレンドルフ監督
あのフォルカー・シュレンドルフ監督の『男と女、モントーク岬で』を見ました。原題は『Return to Montauk』。リンク先の公式サイトからは、どこをどう読んでも普通に感傷的な中年恋愛映画としか思えないところですが、さすがの名匠シュレンドルフでした。その予想は見事に裏切られることになるでしょう。
画面を埋め尽くす「言葉」のやりとりがアメリカ的(ニューヨーク的?)というのか、互いに「言葉」の端同士を打ち返すゲームのような会話の、その一層下で揺れる心の動きを、二人の俳優、ステラン・スカルスガルドとニーナ・ホスが見事に演じていて、決してありきたりの映画には終わっていないところが凄い。日本語字幕は意訳され過ぎ(ついていけない...)なので、途中からはずっと英語だけを聞いていました。
ドイツから新刊のプロモーションに来た男(作家)と、マンハッタンに住む女性たちの会話はその情景描写でもあり、それらの言葉が密接に絡み合い本筋の「物語」が流れていく妙が見所であると言えるでしょう。男はインタビューに答え「私は樹ではなく、動き回る動物である、常にその立場を変え続ける」というようなことを言うのですが、女性たちは彼女たちの暮らす「家」が出てきます。男はそのことに改めて驚くわけです。
画面は非常に美しいのですが、どこか日常離れした冷めた色調でまとめられています。それにしてもあのパウル・クレーの絵は...。
監督:フォルカー・シュレンドルフ 出演:ステラン・スカルスガルド | ニーナ・ホス
2018年7月22日
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