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田舎司祭の日記/ロベール・ブレッソン監督

2021-08-14鑑賞

久しぶりの映画である。とはいえ、セルゲイ・ロズ二ツァ監督のドキュメンタリーを三本たて続けに見たりはしていたので、とにかくしばらくは映画について書く余裕がなかったのだ。

ここでやっと一息ということで、ロベール・ブレッソン監督(1901-1999)の「田舎司祭の日記」(4Kデジタルリマスター版)を見た。1950年の製作だが、日本では70年にわたり劇場未公開作品ということだ。もっとも当時はまだGHQの統治下ではある。

神学校を出て最初の赴任地となった北フランスの小教区。その純粋さ故に村人たちとの間で軋轢を生む中、自らの病と闘いながら信仰に苦悩する若い司祭のモノローグである。見所といえばやはり、幼い子どもを亡くし自らを閉じる領主の妻との問答だろう。信仰を持たない自分には、その畳み掛けるような二人の言葉のやり取りに理解が追いつかないのだが、「神の世界」が一応は存在している故の、「その不在」についての物語ではある。戦後間もなくの市井の人々の感覚だろうと思う。

孤独な司祭役のクロード・レデュは、ブレッソン映画のいわゆる素人俳優起用の賜物で、この印象的な眼差しこそがすでに主題だともいえよう。映画はブレッソンらしい美しくかつ精緻なフレーミングで構成され、意外に多くの登場人物がプロットを構成するのだが、物語としては難解さは無い。この「田舎司祭の日記」は初期作にあたるのだろうが、すでにその完成度は群を抜いている。映画空間を満たす「不条理」こそがブレッソンの描くところだが、その後の「バルタザールどこへ行く」(1966年)や「少女ムシェット」(1967年)へと、さらにその度合いは極まっていくこととなる。

監督:ロベール・ブレッソン  
出演:クロード・レデュ | ジャン・リヴィエール | ニコル・ラドラミル

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hideonakane
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