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Girl/ガール/ルーカス・ドン監督
ルーカス・ドン監督の『Girl/ガール』という映画を見ました。カンヌの「カメラドール」(カメラドールは新人監督賞のこと)。
http://girl-movie.com/about.php
1991年生まれのルーカス・ドン監督は、第2のグザヴィエ・ドラン(!)の呼び声高い人です。ある意味で「狂気」に満ちた画面を作るグザヴィエとはまた違う、しかしまた非常に強い力で画面をグイグイ引っ張っていく監督だと思いました。やはり才能溢れた映画監督です。
物語を簡単に語ってしまえば、トランスジェンダーの15歳の「少女」ララの葛藤を描いたフィクションではあるのですが、見ていると、もしかしたらこれ、ドキュメンタリーなのでは?と思えるほど、主人公のララに扮するビクトール・ポルスターの並外れた演技には驚かされます。
ララの話には実際にモデルがあって、ノラ・モンセクールというトランスジェンダーのダンサーがその人なのですが、彼女自身も監督とともに脚本作りに関わっているところが、この映画をただのファンタジーで終わらせない大事な要素だといえるでしょう。監督自身がノラ・モンセクールの人生に深くに寄り添うことで、私たち観る側の視線をララに寄り添うよう導いているともいえます。
ララを演じたビクトール・ポルスターはトランスではなくシスジェンダーです(補足するとシスジェンダーは「身体的性別と性自認が一致している」という意味。あれ「普通」じゃない?と思った人は残念ながらすでに間違えています。トランスを差別的に扱わないための言葉です)。
それにしても、女の子は15歳でも15年間丸々「社会的」に女の子として育っていることが、ララの立ち振る舞いと対比させてみるとよくわかりますね。しかも「いじめ」もしますしね。あれはちょっと...。
映像が非常に美しいこともこの映画の特徴で、被写体深度が浅い画面やロングショット等が印象的に使われていました。次回作も楽しみです。
監督:ルーカス・ドン 出演:ヴィクトール・ポルスター
2019年10月1日鑑賞
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