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真実/是枝裕和監督

是枝裕和監督の最新作『真実』を見ました。カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュの共演でパリで撮影された、しかしフランス人監督が撮る「フランス映画」ではついぞ見たことのない、まさに驚きの是枝映画でした。
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大女優の母ファビエンヌ(ドヌーブ)と脚本家の娘リュミール(ビノシュ)の母娘対決は、それだけで手に汗握る設定ですが、この映画内にもうひとつ「映画」を挟み込むことで、一気に劇中の登場人物(少し多めです)の間に引かれた補助線が動き出します。「家族」について、その「真実」について。そしてその物語の描かれる先は「希望」でしょうか。

カンヌのパルムドールである前作『万引き家族』の、そこで描かれた「家族像」には強い衝撃を受けましたが、おそらく私たちの暮らす現在の日本に於いて、家族の「希望」を夢見ることはかなり危ういものだと思うのです。その意味で「映画」に「救い」を求めるのであれば、こういう全く別の方向からのアプローチは可能だと思います。ひとことで「豊か」な映画なのですが、是枝監督が『万引き家族』の後で何故「フランス映画」を使って「家族」の映画を撮ったのか。そのことをゆっくりと考えてみる必要があります。

そういえば撮影監督はエリック・ゴーティエでしたね(こないだ見たジャ・ジャンクー監督の『帰れない二人』がそうでした)。エンドロールの映像も心憎いものでした。

とてもおすすめなのですが、私が行った時はお客さん少なかったな。

監督:是枝裕和  出演:カトリーヌ・ドヌーヴ | ジュリエット・ビノシュ | イーサン・ホーク
2019年10月21日鑑賞


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hideonakane
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