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富岡駅と海と
その2 2023年12月10日
富岡駅から海岸までは400メートルほどである。震災後、津波で流された駅舎で有名になった。
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冬のこの時間、朝5時半はまだ真っ暗闇の中だが、駅前のホテルから東に向かって真っすぐ歩くと、ものの5分で県道391号広野小高線に突き当たる。その先が港へと続く道だ。
東の空に細い月が見える。日曜日だからか県道の交通量は少ないが、何台かの車が自分を追い越して港へと下りてゆく。巨大堤防で嵩上げされたその場所から、港を、そして海を見下ろす。富岡漁港は震災後に再建され、2019年にいわき市などから8隻の漁船が帰港したという。日曜日だから出港するのは釣り船なのか。日の出にはまだ早い時間だが、港には20台程の車が集まっている。
6時に防災無線から朝の定時放送が流れた。南側には第二原発の灯りが見える。廃炉作業中の原発は楢葉町との町境にそれぞれ2機ずつある。富岡町は東電の街なのだ。震災前の人口は16000人。2017年4月に帰還困難区域を除いた避難指示が解除され現在は5688世帯11542人(2023年11月)。だが、実際の居住者数は2000人程度だという。つづく
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