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「ソビエト時代のタルコフスキー」より『惑星ソラリス』

2021-02-15鑑賞

承前。1週間ぶりの「ソビエト時代のタルコフスキー」四本目は『惑星ソラリス』。今回初めて見たのだけど、これは怖い映画だな…。

惑星ソラリスを探索中の宇宙ステーションの通信が途切れ、心理学者のクリスがそこに派遣される。友人のギバリャンは謎のビデオメッセージを彼に残し自殺してしまっていた。見る影も無く荒廃した宇宙ステーションに残った最後の2人、スナウトとサルトリウスの挙動も変だ。

ソラリスの海は記憶を物質化させる。自殺したはずの妻ハリーが、昔のままの姿でクリスの前に現れる。幻想ではなく生身のハリーとして。ただし実体化するのはクリス自身の記憶なので、物質的な意味で彼女が傷ついてももとの形状に再生する(してしまう)。自身に「死」を持たない生物として。それだけでもホラー映画に近いのだが、その「複製の」妻ハリーが自己を認識し始めるようになり、さらには意志を持ち始めると事態は混乱を極める。心理学者であるクリスも徐々に精神のバランスを崩し始める。

タルコフスキー自身が過去や記憶に囚われた人間なのは周知のことだが、「狂気」の度合いでいえば、例えば『鏡』を遥かに超える。映像もいつも以上に不穏だ。映画の最後の部分、地球に戻ったクリスの姿を。

監督:アンドレイ・タルコフスキー  
出演:ナターリヤ・ボンダルチュク | ドナタス・バニオニス | ユーリ・ヤルヴェット

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hideonakane
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