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ハッピーエンド/ミヒャエル・ハネケ監督

ミヒャエル・ハネケ監督の『ハッピーエンド』を見ました。ハネケのカンヌでのパルム・ ドール『白いリボン』『愛、アムール』両方とも見ましたが、今回は5年ぶりの新作です。
https://longride.jp/happyend/

「大人の映画である」と言ったとき、皆がその意味を同じように理解するかは自明ではないものの、オリヴェイラ亡き後、真に「成熟」した映画を撮れるのはミヒャエル・ハネケぐらいかと思っています。「人間」を撮るのが映画の目的だとして、そこにどのような映画的手法が用いられるか、それが映画を見ることの醍醐味だと思うわけです。前回の『愛、アムール』と同じジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールで「全く別の映画を撮る」というのはひとつの手法であって、そこからいかに異なる視点と物語を創生できるか。監督の手腕が問われます。

さてこの映画、通常の「主人公がいて物語が進行する」という構造には作られていないので、それがどういうものかについて簡潔に説明するのは難しいのですが、強いて言えば、3歳の少女エヴと85歳のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)の「祖父−孫娘」間の会話、「なぜやった?」「何を?」という、この一瞬のやりとりを撮るために作られた、壊れた3世代の「家族」についての物語だとは言えると思います。

物語の設定としては特殊なものなのですが、そこから現在の私たちの社会に通底する「情感」のようなものを浮かび上がらせる優れた映画作品です。

監督:ミヒャエル・ハネケ  出演:イザベル・ユペール | ジャン=ルイ・トランティニャン | マチュー・カソヴィッツ
2018年5月11日鑑賞

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