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ダゲレオタイプの女/黒沢清監督

黒沢清監督の『ダゲレオタイプの女』を見ました。
http://www.bitters.co.jp/dagereo/intro.html 

高名なファッションカメラマンだった男が、妻の自殺の後パリ郊外のスタジオにこもってダゲレオタイプで娘の写真を撮り続けるという話。キャストもスタッフも全てフランス人という黒沢版「フランス映画」です。

前作の『クリーピー』やその前の『岸辺の旅』もそれぞれ趣が違う映画ではありますが、こうして見ると監督本人が思うよりもおそらく周りの方が意識して「黒沢色」を作り出しているところがあるのだと感じます。それはそれで良いのでしょうが、何かこの映画の美しさの根本に「自由」があるように思えます。最近の黒沢作品の中ではかなり好きな映画です。CGも無し。

ところで「ダゲレオタイプ」というのはフランス人のダゲールが1839年に発明した写真法です。驚くほど高詳細に写りますが、露光時間が長いので人物を撮る場合には体を固定するため補助器具を使います。等身大のダゲレオタイプのカメラが実際にあったのかは知りませんが、ちょっと滑稽なぐらいな大きさですね。大きければ露光時間もさらに長くなります。実は映画にもチラッと出てきますが、ダケレオタイプは亡くなった家族(子供が多いです)を残すために撮られたものが多数残っています(動きませんし)。写真が「死」を孕むというのは、こういうところから来ていることもありますね。「永遠」というのは「死」のひとつの側面なのでしょうか。

監督:黒沢清  出演:タハール・ラヒム | コンスタンス・ルソー | オリヴィエ・グルメ
2016年12月23日鑑賞


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