『地面師たち』をわざわざ文庫本で読んだ
少し前に Netflix のドラマで話題となった『地面師たち』を文庫本を買って読んだ。
会社での雑談のなかで「地面師がおもしろい」ということは何度か聞いていたので気にはなっていた。が、Netflix を利用していないし、新たに課金するつもりはないので見送っていた。
先日の東京出張帰り、新幹線で仕事をする余力がなかったので、軽めの本でも読むかと品川駅の駅ナカ本屋に立ち寄った。ビジネス書は少し重く感じたので、新刊の文芸書をざっと見ていた。
ここ最近は本当に小説を読むことがなくなり、お気に入りの作家さんであっても心惹かれることは少なくなったので、文芸書コーナーへの期待はほぼゼロであった。
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そんななかで、この『地面師たち』が目に入ったのだ。
地面師のためだけに Netflix に課金するのは足踏みするが、小説ならまあいいかと手に取り、そのままレジに向かった。
店員さんからの問いかけに、なぜか「ブックカバーは不要」と答えた。いつもはカバーをかけてもらうのに、今回は不要と判断したようだ。言ってからすぐに後悔した。なお、訂正する勇気は持ち合わせておらず。
そのまま新幹線でそこそこ集中して読み進めることができた。地面師という職業(?)をしっかり説明しながら物語が展開していくので、分かりやすく心折れることなく読めた。この数年小説離れしている自分にとっては、大きな助けとなった。
その後、2週間ほどかけて読み終えることができた。外出する機会がほとんどなく、自宅で読むことになったことで長期化した。自宅にいると、読書時間を作れない体質なのだ。すぐに仕事をしてしまうのだ。
『地面師たち』のストーリーはおもしろく、読後感もよかった。半沢直樹シリーズのような感じで、不動産売買という堅苦しいテーマではあるが、楽しむことができた。
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読み終えた後、Netflix のサイトを見に行って、小説版とドラマ版との相違点を照らし合わせしてみた。どうやら、ストーリーや登場人物はほぼ同じのようだった。キャストを見たところ、ピッタリの配役だなと思う俳優が何人かいて、ドラマ版はさぞ面白いんだろうなと思った。
はてさて、ついでに Netflix の料金プランを見てみると、最も低価格で月額 890 円だった。
おやおや、文庫本は 814 円らしい。
Netflix への課金をしぶったが、これは価格だけ見ると Netflix のほうが(他のコンテンツもついでに視聴できることを考えると)お得ではないか。イマドキの動画配信サービスとはそんなに安いものなのかと…
Netflix と文庫本がほぼ同額だとして、世間一般の人々はなぜに文庫本を買うのだろうか?事前にスマホにダウンロードしておけば、出先でも電車でも Netflix で『地面師たち』を視聴できるはずだ。明らかにコスパは Netflix だろう。不思議だ。
とりあえず自分としての落とし所を考えよう。日頃から本が読めなくて苦しい思いをしているのだから、本を読めたことがうれしいという一点において、読書派の自分を称え、なぐさめよう。それでよさそう。